引抜き加工とは、塑性加工の一種であり、ダイと呼ばれる専用の金型の穴から円筒状・円柱状の金属を引き抜く加工法です。ダイの入り口は太く、出口は細くなっており、棒状・管状の金属素材をより細長くしたり、断面の形状を整えたりすることができます。電線やピアノ線、注射針などの棒材を大量生産する際に用いられる加工法です。加工温度は基本的に常温ですが、太いバー材などを用いる場合など高温で加工する場合もあります。引抜き加工の特徴引抜き加工の大きな特徴は、加工を通じて金属の強度が上がる点です。引き抜く過程で金属に圧力がかかるため、製品の強度が上がります。加えて、ダイと摩擦が生じるため、製品の表面に光沢も出ます。押出し加工など類似する加工に比べて寸法精度が高いこともメリットになります。一方、引抜き加工は、電線や注射針などの棒状・針金状の製品を作る際に用いられますが、引抜きを繰り返すと加工硬化が生じ、断線する恐れがあるので注意が必要です。引抜き加工の種類引抜き加工には大きく5つの種類があります。単純引抜き加工管の引抜き加工ローラーダイス引抜き加工タークスヘッド引抜き加工ダイレス伸線加工単純引抜き加工単純引抜き加工とは、一般的に用いられる引抜き加工であり、ダイの先端から棒材を引き抜く手法です。複数回引抜きを行い、棒材を少しずつ細長くしていきます。引抜き一回あたり、銅線を10~35%、アルミニウムを20~50%ほど細くできます。一度の引抜きで過度な力を加えると断線する恐れがあり、また何度も引抜きを行うと加工硬化が生じる恐れがあるので注意が必要です。管の引抜き加工管の引抜き加工とは、パイプなどの管状の棒材を引抜きする手法です。単純引抜きと同様、ダイの先端から棒材を引き抜く方法のほか、複数の種類の引抜き方があります。例えば、管の内側に心金と呼ばれる細い棒状の金型を挿入する「心金引き」が挙げられます。これは、管の厚みをコントロールしたい場合などに用いられる手法です。ほかにも、ダイの穴よりも大きい心金を挿入する「浮きプラグ引き」や、ダイの穴よりも小さい「マンドレル」と呼ばれる金型を挿入する「マンドレル引き」などの手法があります。これらの手法は、つくりたい管全体のサイズや厚みによって使い分けられます。ローラーダイス引抜き加工ローラーダイス引抜き加工とは、溝があるローラー状のダイ(ローラーダイ)に材料を通しながら引抜きを行う手法です。引抜きに必要な力が少ない点が特徴ですが、他の手法と比べて寸法精度が低い手法です。タークスヘッド引抜き加工タークスヘッド引抜き加工とは、材料の上下左右にローラーダイを配置して引抜きを行う手法です。ローラーダイの配置によって、丸い棒材や角のある棒材を成形することができます。ダイレス伸線加工ダイレス伸線加工とは、ダイを使わず、急加熱・急冷しながら引抜きを行う手法のことです。ダイが不要であり、引抜きに必要な力が少ない点が特徴です。摩擦抵抗が強い材料を扱う際などに用いられます。ただ、寸法精度が低い点がデメリットとなります。試作品に関するお悩みなら346にご相談ください 「新商品開発の依頼先がたくさんあってコミュニケーションが大変...」「どの部品をどの加工方法でつくればいいかわからない...」「図面を作るのが手間..3Dで出図したい...」 そんなお悩みがあれば、ぜひ346にお問い合わせください。弊社346は、製造業に特化し、様々な専門家を有するメンバーで構成された組織であり、新商品の企画・設計・試作の支援など、製品開発全域にわたる総合支援を行っています。346の支援実績についてはこちらからご確認下さい。Wrriten by 346 inc. with Xaris