PVD(Physical Vapor Deposition)とは、表面処理技術の一種であり、真空のなかで被膜を物理的に蒸着させる手法のことです。「物理蒸着」と呼ぶこともあります。ここでいう蒸着とは、チタンやクロムなどの材料を蒸発させ、製品の表面に付着させる加工のことです。PVDを行うことで、金属表面の硬度を上げたり、耐摩耗性を向上させたりすることができます。形成する被膜がなめらかに仕上がる点や、適用される素材の範囲が広い点がPVDの特徴になります。ガラスやプラスチックなどの製品のほか、スナック菓子やインスタントラーメンなどの内装にアルミニウムを蒸着する際などにも用いられています。CVDとの違いCVD(Chemical Vapor Deposition)とは、PVDと同様、蒸着技術の一種に該当します。「化学蒸着」と呼ばれる場合もあります。化学反応を利用し、シリコンの酸化膜などをつくる際に用いられます。CVDの被膜の材料が主に気体なのに対し、PVDの材料は主に固体です。そのため被膜材料の種類はPVDのほうが多く、CVDは比較的少ないです。また、CVDが1000℃程度の高温で処理を行うのに対し、PVDは200℃~500℃と比較的低温で処理を行います。そのため、PVDは製品の形状の変化が生じにくい処理方法だといえます。一方、被膜速度はCVDのほうが10倍ほど早く、形成される膜も厚くなります。被膜の厚さが必要な場合は、CVDが選択されることが多いです。PVDの種類PVDには大きく3つの種類があります。真空蒸着スパッタリングイオンプレーティング真空蒸着真空蒸着とは、電子ビームなどを利用して被膜材料を加熱・蒸発させ、対象の製品に付着させる手法のことです。被膜を形成するスピードが速く、必要な設備が少ない点が特徴です。加工時の温度も低いため、熱による製品の形状の変化が生じにくい傾向があります。ただ、他の手法と比べて被膜の密着性が低いので注意が必要です。ガラスやプラスチックなどの製品に対し、アルミニウムや銀など、さまざまな金属素材の被膜を形成する際に用いられてます。スパッタリングスパッタリングとは、真空の炉内でアルゴンを製品に付着させる手法です。真空炉内でアルゴンガスをイオン化させて製品にぶつけることで被膜を形成します。被膜の付着力が高く、被膜の厚さをコントロールしやすい点が特徴です。広い面積の被膜をつくる際に適しています。ただ、被膜を形成するスピードが遅く、必要な設備の導入コスト・メンテナンスコストが高いところがデメリットになります。電子部品や機械、プラスチックなどのさまざまな製品の被膜を作る際に用いられています。イオンプレーティングイオンプレーティングとは、金属などの被膜材料の粒子をイオン化させ、製品に付着させる手法のことです。プラズマ技術を応用し、被膜材料をイオン化することで、イオンのエネルギーを高く保ったまま成膜することができます。上記で挙げた真空蒸着やスパッタリングと比べて、高精度の加工が可能になります。被膜の密着性が高い点もメリットです。一方、設備費用が高い点がデメリットになります。試作品に関するお悩みなら346にご相談ください 「新商品開発の依頼先がたくさんあってコミュニケーションが大変...」「どの部品をどの加工方法でつくればいいかわからない...」「図面を作るのが手間..3Dで出図したい...」 そんなお悩みがあれば、ぜひ346にお問い合わせください。弊社346は、製造業に特化し、様々な専門家を有するメンバーで構成された組織であり、新商品の企画・設計・試作の支援など、製品開発全域にわたる総合支援を行っています。346の支援実績についてはこちらからご確認下さい。Wrriten by 346 inc. with Xaris