電気めっきとは、金属表面に別の金属を電気分解によって析出させる表面処理技術です。電気めっきは金属の保護、装飾、機能性の向上などさまざまな目的で利用されており、自動車や電子機器、装飾品など、私たちの生活の中で広く活用されています。電気めっきの歴史は古く、19世紀初頭に発見された電気分解の原理に基づいて発展してきました。現代では多様な種類のめっきが開発され、めっき技術の進化とともに、その用途も大きく広がっています。電気めっきの原理電気めっきでは、めっき液中に、めっきしたい金属とめっきの材料となる金属を浸し、それぞれの金属表面に電流を流します。この際、めっきの材料となる金属が陽極(+極)、めっきしたい金属が陰極(ー極)となるようにします。電子は陽極(+)側から陰極(ー)側に向かって流れるため、陽極側の金属は電子を失ってイオン化し、溶液中に溶けていきます。これを酸化反応と言います。この金属イオンは陰極側の金属表面で電子を受け取り、再び金属化します。これを還元反応と言います。電気めっきでは、この二つの金属の酸化還元反応によって、陰極側の金属にめっきの被膜が形成されていきます。また、二つの金属を使うのではなく、金属イオンが含まれる水溶液を用いてめっきを行う場合もあります。この場合は酸化反応を起こさない材料を陽極側に使用します。電気めっきの種類と特徴ニッケルめっきニッケルめっきには、電気めっきに使われる電気ニッケルめっきと、電気を使用しない無電解ニッケルめっきの2種類があります。電気ニッケルめっきは、めっき浴に電気を流してニッケルイオンを析出させる方法で、皮膜の99.8%以上がニッケルで構成されています。厚みの制御が容易で、均一なめっき膜を得ることができるのが特徴です。また、200~300HVの硬度と、200℃程度までの耐熱性を有しており、自動車部品や工業機械など、高い耐摩耗性や耐熱性の求められる部品によく用いられます。銅めっき銅イオンを用いる銅めっきは、その導電性の高さから他のメッキの下地などによく利用されます。銅めっきには硫酸銅、シアン化銅、ピロリン酸銅などが主に用いられます。硫酸銅は平滑で美しい光沢が特徴です。シアン化銅は形状に関係なく均一にめっきができ、素材の細かい凹凸部分にもめっきがよく付きますが、毒性が高い点が難点となっています。ピロリン酸銅浴は均一にめっき可能で、かつ毒性も低いのですが、溶液の管理が難しい点がデメリットとなります。亜鉛めっき亜鉛めっきは、主に鉄材の錆を防ぐ用途などに用いられます。亜鉛は鉄よりも錆びやすいという性質を持っています。そのため、めっきされた鉄材の表面が傷ついた際などに、鉄よりも早く周囲の亜鉛が錆びることで、鉄材の腐食を防ぎます。これを「犠牲防食」と呼びます。亜鉛自体の錆を防ぐために、クロメート処理と呼ばれる後処理を施す場合もあります。クロムめっきクロムめっきは、銀白色で硬く耐食性や耐摩耗性に優れた特徴を持つクロムを用いためっき処理です。美しい光沢を活かして装飾品などに用いられるほか、その高い耐摩耗性・腐食性を活かして、自動車部品などにも用いられます。一方で、導電性が他の金属と比べて低いため、品質の安定には高い技術が必要とされます。【めっきの種類と特徴まとめ】めっきの種類特性主な用途ニッケルめっき耐食性、耐摩耗性に優れる自動車部品、工業用機械部品銅めっき導電性、はんだ付け性が良好プリント基板、電子部品亜鉛めっき犠牲防食作用により鉄の腐食を防ぐ鉄骨構造物、ネジ、ボルトクロムめっき美しい光沢、高い硬度と耐摩耗性装飾品、自動車部品試作品に関するお悩みなら346にご相談ください弊社346は、製造業に特化し、様々な専門家を有するメンバーで構成された組織であり、新商品の企画・設計・試作の支援など、製品開発全域にわたる総合支援を行っています。346の支援実績を見る 「新商品開発の依頼先がたくさんあってコミュニケーションが大変...」「どの部品をどの加工方法でつくればいいかわからない...」「図面を作るのが手間..3Dで出図したい...」 そんなお悩みのある方はぜひ、資料請求ページからお問い合わせください。Wrriten by 346 inc. with Xaris