サブトラクティブ製造とは、素材から不要な部分を除去して目的の形状を作り出す製造方法です。 別名「除去加工」や「エッチング法」とも呼ばれます。金属、プラスチック、木材など、様々な材料を対象とした、切削、研削、放電、レーザー加工など、広範囲な加工プロセスを含みます。例えば、金属塊から切削工具を用いて製品形状を削り出す、プラスチック板をレーザーでカットして部品を作る、といった工程がサブトラクティブ製造に該当します。プリント基板製造やフレキシブル基板(FPC)製造の回路パターン形成にも、この製造方法が応用されています。サブトラクティブ製造のプロセス例(FPC製造の場合)フレキシブル基板製造における回路パターン形成は、サブトラクティブ製造の典型的な例です。そのプロセスは以下の通りです。マスキング: フレキシブル銅張積層板の回路を形成しない部分に、レジストと呼ばれる保護膜でマスキングを施します。エッチング: マスキングされていない部分の銅箔を、薬品を用いて溶解除去します。これにより必要な回路パターンだけが残ります。レジスト除去: エッチングが完了したら、マスキングしていたレジストを取り除き、最終的な回路パターンを得ます。サブトラクティブ製造のメリット・デメリットサブトラクティブ製造には、以下のようなメリット・デメリットがあります。メリットデメリット高精度な加工が可能材料のロスが多い複雑な形状の加工が可能加工時間が長い様々な材料に対応可能工具の摩耗微細な回路形成が難しいメリット高精度な加工が可能: 製品形状や寸法精度に厳しい要求がある場合に適しています。複雑な形状の加工が可能: 多軸加工機やワイヤーカット放電加工機などを用いることで、複雑な形状の製品を製作できます。様々な材料に対応可能: 材料に合わせて加工方法を選択することで、幅広い材料に対応できます。デメリット材料のロスが多い: 材料を削り取る加工方法であるため、材料のロスが大きくなってしまいます。加工時間が長い: 複雑な形状を加工する場合、加工時間が長くなる傾向があります。工具の摩耗: 切削工具は摩耗するため、定期的な交換が必要です。微細な回路形成が難しい: エッチング技術による制限から、近年注目されているアディティブ製造(後述)と比較して、微細な回路形成が難しいという側面があります。アディティブ製造との比較近年注目されているアディティブ製造(3Dプリンターなど)は、材料を積層させて造形する「加法製造」であるため、サブトラクティブ製造とは対照的な製造方法と言えます。アディティブ製造は、材料ロスが少なく、複雑な形状を容易に製作できるというメリットがある一方、寸法精度や表面性状が劣るというデメリットがあります。それぞれの特徴を比較すると、以下のようになります。項目アディティブ製造(Additive Manufacturing)サブトラクティブ製造 (Subtractive Manufacturing)別称付加製造積層造形3Dプリンティング切削加工除去加工加工方法材料を積層して造形材料を切削・除去して造形主な工程3Dモデル作成 → データ変換 → 造形 → 後処理(サポート材除去、表面処理など)設計 → 材料調達 → 切削・加工 → 表面処理メリット- 材料ロスが少ない- 複雑な形状を容易に製作可能(設計自由度が高い)- 多品種少量生産に適している- 工具交換が不要なため、段取り替えが容易- 材料の入手性が低い場合でも造形可能- 寸法精度が高い- 表面性状が優れている- 材料の機械的強度が高い- 大量生産に適しているデメリット- 寸法精度が低い- 表面性状が劣る- 材料の種類が限られる- 造形時間がかかる- 設備コストが高い- 材料ロスが多い- 複雑な形状の製作が難しい- 工具交換が必要なため、段取り替えに時間がかかる向いている用途- 試作品製作- デザインモックアップ- 医療分野におけるカスタマイズされた医療機器- 航空宇宙分野における軽量部品- 量産品- 高精度な部品- 高強度な部品代表的な加工技術- 材料押出法(FDM)- 光造形法(SLA)- 粉末焼結積層造形法(SLS)- 旋盤加工- フライス盤加工- ドリル加工まとめサブトラクティブ製造は、古くから利用されている確立された製造方法であり、特に高精度、高品質な製品を製造するのに適しています。近年では、アディティブ製造などの新しい製造技術も登場していますが、サブトラクティブ製造は今後も製造業において重要な役割を果たしていくと考えられます。試作品に関するお悩みなら346にご相談ください弊社346は、製造業に特化し、様々な専門家を有するメンバーで構成された組織であり、新商品の企画・設計・試作の支援など、製品開発全域にわたる総合支援を行っています。346の支援実績を見る 「新商品開発の依頼先がたくさんあってコミュニケーションが大変...」「どの部品をどの加工方法でつくればいいかわからない...」「図面を作るのが手間..3Dで出図したい...」 そんなお悩みのある方はぜひ、資料請求ページからお問い合わせください。Wrriten by 346 inc. with Xaris