PC+ABSは、ポリカーボネート(PC)樹脂とアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂の2種類の熱可塑性プラスチックを複合化した合成樹脂材料です。この材料は、両樹脂の長所を併せ持つことから、優れた機械的強度、耐熱性、耐衝撃性、成形加工性、難燃性などの特徴を有しています。また、PC+ABSのほうが、PC単体の樹脂よりも価格が安いというメリットもあります。これらの特性から、PC+ABSは家電製品やオフィス機器、自動車部品などの幅広い用途に活用されています。PC(ポリカーボネイトとは)PC+ABSに含まれるポリカーボネート(PC)とは、プラスチック素材の一種です。プラスチック樹脂のなかでも透明度・耐衝撃性が非常に高く、航空機のコックピット部品や信号機などさまざまな領域で用いられています。PC₊ABSでは、PCの「加工性が低い」という特徴が補われています。PCは加工するのが難しく、一般的なアクリル板と比べると接着・曲げ加工がしづらい素材です。そのため板状のまま使用されることが多いのですが、PC₊ABSではABS樹脂の特性を持ち、高い加工性を有します。ABSとはABS樹脂とは、プラスチック素材の一種であり、アクリロニトリル(A)・ブタジエン(B)・スチレン(S)という3種類のモノマーから構成される合成樹脂です。強度・耐衝撃性・光沢などにおいて優れており、家電製品や、自動車のフロントカバー、プリンターなどの電子機器に用いられています。PCと比較すると強度が低いですが、加工性が高い点が特徴です。射出成形や押出成形、真空成形などさまざまな加工法に対応でき、この加工性の高さがPC₊ABSに活かされています。PC+ABSの特徴PC₊ABSの特徴は以下の通りです。機械的強度・耐衝撃性が高いPC+ABSは、PCの強度と剛性を有しており、引張強度や曲げ強度などの機械的強度に優れています。加えて、ゴムのような性質を持つABSの耐衝撃性・靱性も併せ持ちます。耐熱性・難燃性に優れているPC+ABSは、PCの耐熱性を部分的に受け継いでおり、一般的なABSよりも高温での使用が可能であり、その耐熱温度は80~120℃程度です。また、PCは自己消化性機能があり、難燃性が高い樹脂です。そのためPC₊ABSは燃えにくいプラスチック素材だと言えます。成形加工性が高いPC+ABSに含まれるABSは、加工性が高い樹脂であり、射出成形や押出成形、真空成形などで加工することができます。複雑な形状の製品を作りたい場合にPC₊ABSは適しているといえます。PC+ABSの主な用途PC+ABSの優れた特性から、以下のような様々な用途があります。自動車部品の素材(バンパー、ヘッドランプ、コーナーランプなど)電気・電子機器のパーツ素材(携帯電話ハウジング、リレーケース、カメラハウジングなど)家電製品の筐体建築資材(窓ガラスなど)医療機器(フィルターケースなど)PC+ABSの注意点一方、PC+ABSの注意点は以下の通りです。耐薬品性や耐熱水性に劣るため、薬品や高温の水蒸気にさらされる環境では注意が必要特定の溶剤や切削油の使用は、樹脂の溶解やクラックの原因となる可能性があるので避ける必要がある試作品に関するお悩みなら346にご相談ください 「新商品開発の依頼先がたくさんあってコミュニケーションが大変...」「どの部品をどの加工方法でつくればいいかわからない...」「図面を作るのが手間..3Dで出図したい...」 そんなお悩みがあれば、ぜひ346にお問い合わせください。弊社346は、製造業に特化し、様々な専門家を有するメンバーで構成された組織であり、新商品の企画・設計・試作の支援など、製品開発全域にわたる総合支援を行っています。346の支援実績についてはこちらからご確認下さい。Wrriten by 346 inc. with Xaris