窒化とは、鋼材を大気中で加熱し、表面に窒化物を形成することで硬度を高める処理のことです。1923年にドイツのアドルフ・フリー博士によって開発され、その後さまざまな手法が研究されました。窒化処理の特徴は、他の熱処理と比べて低温であり、鋼材が熱で変形するリスクが低い点です。表面の硬度を高めることができ、鋼材の経年劣化を防ぐメリットもあります。ただ、0.1~0.5mmの深さでしか硬化することができないため、用途によっては他の手法を選択するのが適切な場合もあります。材料の硬度、耐熱性、腐食抵抗性などを向上させる目的で、家電製品や自動車などさまざまなパーツを制作する際に用いられます。浸炭処理との違い浸炭処理とは、鋼材を加熱することで表面の炭素量を増加させる処理のことです。窒化処理のように窒素を化合させるのではなく、炭素を化合させます。いずれの手法も、鋼材の表面のみを硬化させる点で共通しています。耐摩耗性が向上する処理にあたるため、自動車のエンジン部品など絶えず摩擦が生じるパーツを製造する際に用いられます。ただ、浸炭処理と窒化処理は加熱する温度が異なります。浸炭処理は850~1050℃と比較的高い温度で加熱を行い、窒化処理は400~650℃の温度で加熱を行います。低温で加熱すると加熱による金属の変形が生じにくいため、窒化処理は寸法変化が生じにくい手法だといえます。ただ、温度が低い分、硬化する深さも小さいため、窒化処理のほうが加工後の強度が低いといえます。窒化の種類窒化処理の主な種類は7つあります。ガス窒化:アンモニアガスを用いた窒化処理。加熱によってアンモニアを水素と炭素に分解し、窒化を行う。通常は500℃ほどの温度で加熱を行うが、金属の変形を抑えるために400℃ほどの低温の処理を行う場合もある塩浴窒化:塩浴によって窒化処理を行う手法。塩浴とは、中性塩を溶融させた槽に鋼材を入れて(侵漬して)熱処理を行うことを指す。塩浴の影響により、窒化と同時に浸炭が生じる。これにより、高い耐食性・硬度を持つオーステナイト系ステンレスをつくれるプラズマ窒化:グロー放電の原理を使って窒化処理を行う手法。放電によってイオン化した窒素を鋼材の表面に拡散させて窒化を行う。低温で処理できるため変形が少ない点が特徴。ガス軟窒化:窒素と二酸化炭素、アンモニアガスなどの混合ガスを用いた窒化処理。吸熱型編成ガス(RXガス)とアンモニアガスを混合させるなどして加熱する。通常のガス窒化よりも処理時間が短く、さまざまな鋼材に対応できるといった特徴があります。酸窒化:二酸化炭素を含む酸化性ガスをアンモニアガスに混ぜて行う窒化処理。窒素と酸素を表面に拡散させて硬度を高める手法。浸硫窒化:窒素と硫黄を鋼材の表面に拡散する窒化処理。塩浴を行う方法とガスを用いる方法の2種類がある。処理時間が短い点が特徴。浸窒焼入:鋼材の表面に窒素を拡散させ、焼き入れを行う窒化処理。焼き入れによって窒素マルテンサイトと呼ばれる焼入層が形成される。加熱する温度が低く、鋼材が変形しづらい点が特徴。試作品に関するお悩みなら346にご相談ください 「新商品開発の依頼先がたくさんあってコミュニケーションが大変...」「どの部品をどの加工方法でつくればいいかわからない...」「図面を作るのが手間..3Dで出図したい...」 そんなお悩みがあれば、ぜひ346にお問い合わせください。弊社346は、製造業に特化し、様々な専門家を有するメンバーで構成された組織であり、新商品の企画・設計・試作の支援など、製品開発全域にわたる総合支援を行っています。346の支援実績についてはこちらからご確認下さい。Wrriten by 346 inc. with Xaris