電着塗装は、水溶性塗料を用いた電気化学的塗装方法の一種です。被塗物を電極とし、水溶性塗料を電解質溶液中に分散させた状態で直流電圧を印加することで、電気泳動によって塗料を被塗物表面に析出・付着させる技術です。自動車産業や家電製品などの分野で広く利用されています。
電着塗装には、被塗物の極性によってアニオン電着とカチオン電着の2種類があります。
被塗物を陽極、電極を陰極として通電し、塗料を付着させる方法です。
【メリット】
カラーバリエーションが豊富で、多彩な色の表現が可能
アルミ材や下地めっきとの密着性が高い
低温での焼き付け工程のため、高温に弱い製品への塗装に適している
アルミ製品に関してはカチオン塗装より密着性が高い
【デメリット】
皮膜が酸系であるため、鉄材との相性が悪い
銅や真鍮に対してはめっき不可
カチオン塗装と比較すると、耐食性が若干劣る(ただし膜厚や下地・素地の種類によって変化する)
被塗物を陰極、電極を陽極として通電する方式。アニオン電着塗装と比べ、密着性、膜厚均一性、高い防食性などの利点があります。
【メリット】
非常に高い耐食性を有する
亜鉛メッキ+クロメート処理などと比べてコストが安い
膜厚を薄くできるため、コントロール可能で下地に適している
鉛フリー・ジブチルスズフリーなど、環境負荷が低い塗料もある
【デメリット】
エポキシ樹脂を使用しているため、耐候性(特に直射日光)に劣る。
塗膜・皮膜が柔らかいため、傷がつきやすい
厚膜にしすぎると表面がボコボコになり、薄膜にしすぎると色が薄茶色っぽくなることがある
電着塗装には、以下のようなメリットがあります。
電気化学反応を利用するため、複雑な形状の製品でも均一な塗膜を形成できます。これにより高い防食性や耐久性を実現します。
水性塗料を使用するため、VOC排出量が少なく、火災の危険性も低いです。また、塗料の利用効率が高く、塗料ロスが最小限に抑えられます。
特殊な技術や経験を必要とせず、自動生産化が可能です。大量生産に適しており、コストを抑えることができます。
特にカチオン電着塗装は高い耐食性を持ち、亜鉛メッキなどの下地処理としても用いられます。
一方で、電着塗装には以下のようなデメリットもみられます。
多くの付属設備を必要とするため、初期の設備コストが高くなる傾向があります。
材料に電圧をかけて塗装するという原理上、使用できるのは導電性のある材料に限られます。
塗料成分の沈降防止のための撹拌などの定期的なメンテナンスが求められます。
エポキシ樹脂を使用したカチオン電着塗装は、耐候性に劣るという課題があり、直射日光下での使用には上塗り塗装が必要となります。
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