”346 COMPANY LOG ” では、株式会社346のこと、346で働く人について情報発信しています。今回はメカエンジニアのSさんにお話を伺います。元々ものづくりに対する追求心の塊だったSさんが、入社して2年、346で感じ学んだことを話してくれました。小さな組織、かつ受託開発をする346ならではの醍醐味を感じるインタビューです。社員 Sさん桑沢デザイン研究所を経て、346に参画。これまでには、日用品、飲料機器など様々な工業製品の設計やデザインを経験。知的財産権にも造詣が深く、プライベートで集めたスマートフォンは100台を超える(2024年4月現在)ガジェット収集家でもある。ー まずは、入社の経緯を教えてください。S僕は、専門学校の桑沢デザイン研究所で工業デザイン全般について学んでいました。そこで346代表の三枝さんと菅野さんの授業を受講していたんですよね。おふたりの手がけた製品の中に僕も知っているものがあったことをきっかけに、346を面白そうと感じたのを覚えています。元々僕は、製品に関わった技術者に対する興味が強く、インターネットで開発者の過去制作実績を調べることもありました。なので実際に開発に携わっている方の話が聞けるのがすごく楽しくて。授業終わりに自分のポートフォリオを見てもらって、アルバイトにお誘いいただいたのが346に関わるキッカケでした。ー 学生時代から346でアルバイトを!どんな業務を担当していたのでしょうか。S現在自社ブランドとして販売している「DAVI缶オープナー」を作っていました。当時はまだ企画段階で、要素研究から携わっています。ユーザーにとってどういったものが使いやすいのか、刃の形状や性能、耐久性などあらゆる観点から製品について構想する、企画の段階ですね。10か月ほどアルバイトとして働いたのち、学校を卒業してそのまま346に正社員として入社しました。※要素研究…製品を成り立たせる根幹の要素や技術を研究・開発することー なぜ346に就職しようと思ったのですか?S346はとても働きやすく、僕のやりたいことを代表陣が理解してくださっていると感じていたので、卒業後に入社できたら良いなと思っていました。ー 働きやすく、やりたいことがある環境、ですね。具体的にはどんな点でしたか?S1点目の「働きやすい」という点は、代表陣との距離が近かったのが大きな要因だと思っています。例えば、判断のスピードの早さですね。企画や設計にすぐレビューをもらえますし、朝に検討したことが午後にはもう修正できる。僕は新卒入社なので他社との比較はしにくいのですが、あらかじめミーティングを申し込んで、会議室を確保して…と、余計なことに時間を取られず済んで、物事がどんどん進むのを感じていました。結果的にものづくりにかける時間を長く取ることができます。アルバイトとして製品づくりに携わる段階から「これはいいぞ」と思っていました。ー 判断できる人が近くにいる、小さい組織の利点ですね。ものづくりをしたい人にとって重要な点だと感じます。2点目の、「やりたいことを理解してもらえた」というのはどういったことでしょうか?S僕は、「ものづくり」そのものである、デザインと設計を「両方」やりたいと考えていました。なので、携る業務・領域を限定せずに広く担当させてもらえたのは魅力的に感じていました。またプロジェクト開始時などは、各人の得意なことや希望が配慮されたうえで、メンバーがアサインされていたように思います。小さいチームだから融通が利いたり幅広くやる必要がある、という背景も大いにありますが、メンバーの特性や希望を汲んでの采配をしてもらえていたと感じます。頭の中で考えていたものができ上がる、ものづくりの醍醐味ー 現在、入社からは2年経ち3年目の社歴ですよね。どんな業務内容を担当されていますか?S主にデザインと設計を兼務しています。加えて、調達、組み立ての立上げなど、設計の後工程まで広く担当するようになりました。ー 一般的に見て、デザイナー・メカエンジニアが調達まで担当するケースはあまりないですよね。Sそうですね、珍しいと思います。僕の同級生に話を聞くと、普通はひとつの領域を専門的に担当するイメージなんですよね。僕は現状、70%ほどは設計、他は同割合で幅広くやっています。代表の菅野さんが、前職のアクセンチュアやWHILLで設計や製造周辺の領域に携わっていたことや、メンバーのベテランエンジニアも経験豊富な分野ということが背景にあって、僕らも日々レクチャーを受けています。※WHILL…電動車椅子や近距離モビリティを開発するスタートアップ企業※代表 菅野経歴…株式会社RICOH、WHILL株式会社、アクセンチュア株式会社を経て、株式会社346創業。電動車いすをはじめとする医療・福祉用具開発、および製造・SCM領域のDX改革業務を経験。桑沢デザイン研究所卒/東京都立大学 工学修士(航空宇宙)ー 入社後はどんな製品に携わって来られたのでしょうか?S正社員として入社前から携わっていた「DAVI缶オープナー」は、製品として流通するまで手がけました。あとは、現在製作が進行中のものも含みますが、かき氷機、炭酸サーバー、自動走行ロボットなどですね。DAVI缶オープナー https://davi.co.jp/他実績ページ https://346design.com/worksー どんなことがやりがいと感じますか?S作ったものができ上がること、でき上がったものを間近で見られることが大きなやりがいです。日々製作をしていると、なかにはビジネス的な事情で完成の日の目を見られなかった製品もあるんですよね。そんな中、きちんと企画が進み、試作も実物もできて、機能が確認できて、量産して製品になる。しかもそれが、自分のデザイン・設計したもの。これを実物で見れるというのが一番のやりがいです。ー しかも、学校では手がけられないような大型のものがあったり、流通量が多かったりするわけですもんね。Sまさにそうなんです。自分一人でもものづくりもやってはいたんですが、どうしても個人では費用や機材に限界があって、それがクオリティの天井を作ります。「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」から始まった、ものづくりへのあくなき探求ー 個人ではどのようなものづくりをしていたのですか?SRaspberry Pi(ラズベリーパイ)のようなミニサイズのパソコンや、そのケースなどですね。ノートパソコン風に使えるように、筐体のようなものを作って設計を乗せていました。※Raspberry Pi(ラズベリーパイ)…プリント基板の上にCPUやコネクタ、入出力に必要なインターフェースなど、最低限の機能を搭載した手のひらサイズの小型コンピューターー これまでのSさんの学生時代の話を聞くと、積極的に製作をして、ポートフォリオを作って、と意欲的にものづくりに触れていたのですね。S僕はもともとロボコン部に入っていて、設計や部品加工に触れていました。知的好奇心の赴くままに素材や設計のことを調べて、ガジェットやスマートフォンを収集していました。いま自宅には、集めたスマホは100台以上あります。ー 100台! Sさんは特許など知的財産権にも造詣が深いと聞きました。今のお話の延長から興味が出てのことなのでしょうか?Sそうなんです。例えば、特許を読むと、スマホがどういった技術からできているのか書いてあるんですよね。こういった問題があるからこんな設計なんだ、とか。実際のスマホを分解して中を見るとその通りになっている。ー スマホの中身を楽しむための参考文献だったわけですね。S特許には、開発者の名前が書いてあります。そこを起点に調べてみると、あらゆるストーリーが見えて面白いです。たとえば、N社が携帯電話部門を売却して開発チームが解散した時に、中国のメーカーがヘッドハンティングを仕掛けました。すると、その次の商品から中国メーカーのスマートフォンのスペックが格段に向上した、ということが起こっていて、それが開発者の名前を追いかけることで読み取れるわけです。ー 人の歴史と技術の推移が紐づいているわけですね。Sこれはどこの会社でも起こり得ることなんですよね。346も技術力の高い人が入社すると、イコールで会社のできることが増えます。人の持っている知識が会社の知識になるわけなので。ー 346は下郡さんが入社した2年間で、4人→約20人と大きくメンバーが増えました。どのように感じていますか?S経験豊富な方の入社が立て続いていて刺激的です。僕は設計のレビューでコミュニケーションを取ることが多いのですが、先輩が「私も昔こういう設計して、こんなトラブルになったことがあって、だからここは別の手法を取った方が……」なんて、経験談を交えて聞くことができます。技術だけではなくものづくりの全体像や仕事のやり方まで知ることができて、勉強になるの一言です。多様なプロジェクトに触れ、ものづくりの経験が蓄積する場ー 346の魅力や面白さはどんな点だと感じますか?Sメンバーの幅広さや知識の深さは前述しましたが、同じくらいに仕事内容が面白いですね。それは、業務内容も指しているのですが、携わっている案件も同様です。通常、メーカーに入社すると同じジャンルの製品の開発担当であり続けることが多いと思いますが、346は受託製作をしています。オールジャンルであり、新規事業やベンチャー企業からの仕事が多いこともあり、今までになかったような製品の依頼を受けたりもする。幅広く、あらゆるものづくりができるのが魅力です。ー スキル的にも横幅広く成長できそうですね。ですが、単純に毎回新しいことの連続で学びが追いつかず苦労も多いのでは?Sもちろん大変なのですが、それが楽しいんです。ひとつのことを深く学び続けるのも興味深いと思います。ですが、色々な種類のものに触れられる環境はなかなかありません。そもそも、ものづくりが好きなので、作れて、それによって成長できるのがとても楽しいんです。ものを作り続ける!先輩から技を盗む日々ー この「メンバーインタビュー」もこれで6回目ですが、346のメンバーはみんな、本当にものづくりが好きだなと感じます。S僕もそう感じますね。デザイナーやエンジニアだけでなく、バックオフィスの方々まで含めてみんなものづくりが好きなように思います。ー 今後の目標はありますか?Sいま僕は3年目で、現状なんとかできていることをもっとしっかりできるようになりたいと考えています。デザイン、設計、調達と幅広くやっている一連の流れひとつひとつをレベルアップしたいですね。でも、一番は、ものづくりを「続けていくこと」です。スペシャリストになることやステップアップすることも重要ですが、その前に「ものづくりをやり続けたい」というのがある。それが僕の働きがいです。ー ものづくりを続けるためには、どんなことが必要だと思われますか?Sまずは、自分の考えをちゃんと説明し、相手に伝えられるようになりたいですね。基礎的なことのように聞こえますが、ものづくりを進める力のひとつです。346の受諾製作はクライアントワークで、ものづくりを通した課題解決を提供しています。課題のコアを探る対話や、提案がものづくりの方向性を定めるベースになります。抽象的ですが、今はそういった力が足りていないと感じます。ー 346の現メンバーは課題解決の面でもプロフェッショナルが揃っていますよね。学びが多そうだと感じます。Sだからこそ、いつまでも先輩方と同じ場所で働き続けることができるわけではないので、頼り続けずに済むように吸収したいですね。346では様々な業態、規模の企業のものづくりを通して、様々な製造方法や設計のバリエーションを経験できます。これにより、幅広い知識や技術を吸収し、成長することができる点が魅力の一つです。(取材・文:橋尾 日登美)