”346 COMPANY LOG”では、株式会社346の会社のことや、346で働く人について情報発信しています。3回目となる今回は、346というチームについて。2023年4月時点で、フルタイム社員10名、パートナー含め15数名程度の346。どんな経緯でこのチームが成り立ち、どう集まったのか。このチームだからこそできている仕事、経験できることを代表にインタビューしました。採用判断の裏側や、入社後の働き方などを感じていただける内容です。(左)創業者 共同代表 三枝(右)創業者 共同代表 菅野ー 今回は346で働く人たちのことを教えてください。まずは、現在のチーム構成を聞きたいです。三枝メインの稼働はおおよそ以下の構成です。経営者 2名 デザイナー 3名 エンジニア 6名 営業 2名 バックオフィス 2名 (2023年4月現在)便宜上、職種名で表記していますが、それぞれの役割ははっきり分かれておらず兼任も多いです。現在は経営者2名も、それぞれデザイナー、エンジニア、経理、バックオフィスなど、幅広く実務を担当しています。ー 組織のサイズが小さいとそうなりますよね。メンバーの経験年数幅が広いと聞き、特徴的と感じています。菅野上記メンバーの中に、新卒が3名、50歳以上のメンバーが5名います。経営者2名が30代ですが、中間層が少なく、昨今のベンチャー企業としては確かに変わった分布かもしれません。デザインをキーワードに集まった、世代と専門性を超えた”面白い”メンバーー 30代の代表が立ち上げたいわゆるベンチャーやスタートアップの企業では、なかなか見ないメンバー構成だと思います。意図的に経験豊富な人材を集めたのでしょうか?菅野特に年齢を加味した採用戦略をしているわけではありません。僕ら世代のベンチャー企業としては特徴的かもしれませんが、僕たちが深く入り込んでいるのは製造業であって、業界的全体としては一般的にも感じます。まず、ご縁のあった方々の中で「面白そう」と直感的に感じた人とはとりあえず話す機会を設けて、面談の中でうちに合いそうなところがあればオファーをさせていただいています。「面白そう」とは、これまでに取組んできた仕事が面白い、一緒に仕事したら自分達が学べることも多く面白そう、弊社のXXさんと仕事したら面白いものができそう、今のメンバーにはない面白い考えや趣味を持っている、など様々な観点があります。三枝もちろん職能的に求める基準や、デザインやものづくりが好きであることは大前提としてありますが、「面白そう」「話を聞いてみたい」という感覚的な要素も多分に重視していますよね。菅野また、現在の346の主力事業は工業製品の受託開発であり、受諾開発は人材を含む様々な会社資源があるからこそ取れる仕事も多くあります。そういった背景もあり、採用方法は日本型(メンバーシップ型)とも言えるのかもしれません。職務記述に当てはまる人を採用すること(ジョブ型)もありますが、そうではなく、「この人がいたら、今あるリソースと組み合わせてこういう仕事ができるぞ。」というアイデアがでてきて採用することもあります。つまり、『仕事に人がつく』スタイルではなく『人に仕事を付ける』かたちです。自社のサービスやプロダクトがあって、それを開発できるチームを構成しようという発想であれば、職務記述に沿った人材が必要です。しかし、346の場合はメンバーのスキルや経験によって会社としてできることが広がっていって、それに当て込んで仕事をつくっていきます。今はその積み上げで事業拡大をしています。三枝それぞれのメンバーがもっているスキルと会社が保有する技術資産の組合せによる、組織的な開発力が弊社の商品になっています。だから、採用候補者が参画することによって346として新しい仕事がつくれそうと感じられるか否かは重要な判断基準になります。ー 面白い人、かつ、346で開発できる技術領域が広がる人材を採用する、という判断をしていくうちに、自然と今のメンバー構成になったという結果なんですね。菅野はい、その通りです。その背景として、製造業はソフトウェアの業界と違い技術の変革スピードが良くも悪くも緩やかだというのがあるかもしれません。したがって、経験年数の長い人材の方がマネジメントだけではなく、実務能力もいまだに高い傾向にあります。別の言い方をすると、製造業のスキルはアップデートではなく積み上げ型の性質が高いと思います。例えばメカ設計だと、3年前と50年前で設計に必要なスキルやものをつくるための製造技術が大きく違うかと言われるとそうでもない。もちろん、3DCADの有無や3Dプリント技術などの発展はありますが、それが市場に出てきたのも2-30年以上前の話です。しかし、IT系、ソフトウェアのエンジニアだとこうはいかないですよね。開発対象によっては、直近3年間のトレンドを掴んでいないと、エンジニアとして機能しないなんてこともあると思います。対して、製造業人材は年々経験値が積みあがっていくので、ここ数年マネジメントやってたけど実務に戻りたいと思う経験者がすぐに実務に戻れたりします。三枝僕の場合は、これまでシニア世代との仕事経験が多かったので、これが当たり前という感じもあります。そして、現場でばりばり働くシニアは若い人より全然元気だよね、とも思います。菅野そうですね。そもそも、よくステレオタイプとして挙げられる、考えに柔軟性がない保守的なJTCのミドルのような人材は弊社の採用対象にはならないと思います。そんな人が本質的にいるのかどうかはおいておき。また、シニアメンバーの中にはこれまでは大企業でステップアップして管理職を経験してきた方も多くいます。そういった方々も今の弊社の企業規模だともちろん実務も担っていただくことになりますが、逆にその手触り感や自分が関わっているという実感に楽しさを感じられる方が多いように思います。そういった方々には、僕たち自身も実務はもちろんマネジメント観点でもいつも相談に乗ってもらっています。ー ただ、そういったハイレベルな方々は報酬も高くなってしまっていて、小規模サイズの企業には雇用をためらう現実もありますよね。菅野できる限りは前職の給与は維持する形で入社していただいています。報酬はコストパフォーマンスで測るしかないので、たとえ高額の報酬だったとしても、その人材がそれ以上の収益をあげられるのであれば特段問題ないというのが基本的な考え方です。自分の報酬は自分で稼ぐという考えは僕が外資系のコンサル会社にいた時に共感した考え方で、弊社事業が受諾開発を軸に事業を行なっている為成り立つ考えかもしれません。なので、採用したいが弊社の現状だとどうしても前職の報酬を維持できないと正直にお伝えし、対象者に判断頂くケースもあります。そして、その結果入社頂けた方もいます。しかし、たとえやりがいのある仕事につけたとしても、転職で報酬が下がるのはいいことだとは思いませんので、こういうケースがはできるだけなくしたいとは考えています。弊社はすでに工業デザイン会社としては低くない給与水準だとは認識していますが、企業としてデザイン以外にも領域を広げるからには、大手メーカ相当以上には給与水準を上げていく必要があると感じています。ー これら採用の結果、346はどのような特徴の組織になっていますか?三枝事業という観点では、製造業に関わる幅広い領域の仕事を受けられる組織になっています。弊社規模のように、自分の目が行き届くサイズ感の企業では、商品デザインから開発・製造までの幅広い仕事を持っている会社は少ないんですよね。同じ事業規模だと、デザインだけはやる、設計だけはやる、というような会社が多いと感じています。菅野開発案件は1チーム2,3人で回すことが多く、案件単位では大企業でも同じ規模のプロジェクトチームは取組むことはありえることかもしれません。ただ、経営との距離がこんなに近いというのは小規模の会社ならではだと思います。僕が大手メーカーにいた頃、自身が担当している業務以外では誰がどこで何をやっているのかとか、実際にこの製品を購入する顧客はこれに対して何と言っているのかなどが、不明確であいまいなことにもやもやしていました。開発だけでなく、経営、バックオフィスも含めると関わっている人の数が桁違いに多くなるので。転職先は小さい会社に限定して探し、346にたどり着いたメンバーもいます。あと、お客様とこんなに近いっていうのも大企業の技術者だと得難い環境かもしれないですね。自分が作ったものを誰が買ってくれているのか、それに対してどんな感想を持ってくれているのかという実感は大企業で感じにくいように思います。オフィス(改装中)インターネットには載っていないものづくりの経験と知識菅野現在製造業界ではたらく50代60代の方々は、日本の高度経済成長期を経験し、その後のものづくりの変革を支え、今あるものの基盤になるものを作ってきた人達です。そんな方々が持っている知見を後世に残して行かないともったいないです。なので、僕ら含め、若手メンバーが先10~15年くらいの期間をかけてそれら知識を吸収していくことはとても重要だと考えています。もしかしたら、そういった実務知識を共有する場としては、一緒に仕事をしながら伝えられる弊社のような小規模の企業の方が大企業より良い環境なのでは、と思っています。また、昔と比べると市場が広がり、組織やサプライチェーンの多層化が進み、結果的に日本の大手企業には実務経験が少ない中間管理職が増えているようにも感じます。こういった人達がまた実務レベルのことを学びなおすにはハードルが高く、さらにはその下の従業員の実務レベルも中々上がらないという負の連鎖が起こっていくことが今後推測されます。そうなったときに、346が開発やデザイン実務の知及び見・技術資産を有する会社になっていれば、実務リソースの少ない企業の役に立つことができます。失われてしまうかもしれなかった技術や知識を、その後も持続的に存続させることに貢献できると考えています。ー 日本のものづくりを未来につなげるのですね。やはり、経験豊富なメンバーはお仕事ぶりの違いを感じますか?三枝一挙手一投足にその違いを感じます。手掛ける設計や、使う言葉すべてですね。昔こんな失敗をしてね、など色々なエピソードを話してくれるんですけど、僕らはその失敗をしたことがない。製造業は失敗を経験しないと知ることができない内容ばかりなんです。菅野そう、これらは本やインターネットに載ってる知識じゃないんです。ものづくりに関する経験則は文字や画像情報では至らない多次元的な情報です。そこで語れるものは、自分で設計してものを作って、あらゆるものに関わって、という積み重ねがあるからこそ至れたものだったりします。だから、経験が長くあればあるほど有利な職種だと思います。三枝そうそう、その語られてることって、まず本やWEBには書いてないんだよね。しかも、書きにくいし、その情報に価値を感じる人が極めて少ない。一つ一つはすごく重要な課題だけども、製品固有の問題だったりすることがほとんどなので、文字情報としてまとめて残すのは非常に難しい。ー それは、一緒に働くからこそ得られる知見そのものですね!幅広い年代が揃ったチームですが、プロジェクトメンバーの構成はどのようになっているんですか?三枝うちは経営陣含めて全員現役プレーヤーなので、若手シニア関係なく、役割で配置しています。それぞれのプロが集まってひとつのプロジェクトを回すスタイルですね。これは規模が小さいだけで他社と変わらないと思います。菅野前述のように、シニアから若手へ知見を伝えられるようなチーム形成を増やしていくことに力を入れています。346のメンバーは全員ものづくりが好きなので、若いメンバーはシニアのメンバーから情報を積極的に取っていこうとするし、シニアメンバーは若いメンバーにあふれんばかりの情報をしれっと伝えていく、というようないい環境が346にはあると思います。誇れるスキルセットのチーム、拡大へー 今後、346をどんなチームに成長させたいですか?菅野まずひとつは、前述したように、開発や製造技術の知見が自然に共有される環境であり、その結果としたそれら情報が企業の技術資産として蓄積される組織にしていきたいですね。そのために、多種多様な人と多種多様なものをつくる機会を増やしたい。また、これは経営課題でもありますが、プロジェクトをメンバーだけで案件をクローズできるような組織体制を構築していきたいです。現在は、多くのプロジェクトに僕か三枝が必ず関わっていますが、それではすぐに企業としての成長限界にきてしまうので。三枝繰り返しになりますが、経験や技術領域などの観点で層の厚い組織にしていきたいと思っています。僕たちが取組む製造業は、クライアントのプロジェクト全体でみると少なくとも数千万、多ければ数十億というお金が動きます。したがって、僕らのような受諾企業は与信が重要となります。その時、プロジェクトメンバーの層の厚さは重要です。実際、お客様には商談の中で組織図を見るような質問をよくされていて、弊社メンバーの層の厚さが与信として機能している肌感覚があります。ー現状の346は、人数こそ少ないものの、かなり幅広い経験豊富な人材が集まっていますよね。菅野はい。従業員の比率において、エンジニアや営業メンバーの割合が高いのはデザイン会社としての差別化要素だと考えています。採用判断はメンバーシップ型であるとは言いましたが、幅広いスキルの専門家をそろえている点に関しては意思を込めてそうしています。三枝だから、クライアントは346に製品開発をまるっと投げることもできるし、足りないリソースのみを346から補填することもできる。事業戦略としてはすごく合理的なことですが、私や菅野のデザインを軸としたその他領域の専門性というやや稀有なバックグラウンドがあるこそ実現できていることであり、他の会社では真似するに真似できない部分なのではないかと感じています。※代表2名のプロフィールー 全体感あるプロジェクトをこのメンバー構成で間近で吸収できる現在は、貴重な企業フェーズと感じました。そして、層を充実させるにあたり、ポジションが多数ある状態ということでもありますね。ありがとうございました。(取材・ライティング:橋尾 日登美)求人情報<ものづくりが好きな仲間を探しています>弊社346では様々な職種でメンバーを募集しています。興味関心がある方はCAREERSよりお問い合わせください。関連記事346 COMPANY LOG | 創業ストーリーデザインマネジメントのこぼればなし 第1回 「デザイン組織のいろいろな人々」デザインエンジニア概論 第1回「デザインエンジニアとは」ハードウェアスタートアップのデザイン戦略 第1回「日本の製造業概況」デザイナーが知っておきたい 知財文献紹介【第1回】電池式携帯電話用充電器まんがでわかるインダストリアルデザイン 第1話「インダストリアルデザインってなんだろう?」デザイン漫遊記 ① スティックレー家具<株式会社346について>346(サンヨンロク)はデザイン経営を中核にしたものづくりでテクノロジーの民主化を目指す開発・製造総合支援企業です。インダストリアルデザイナー、ハードウェアエンジニア、ビジネスコンサルタントなど様々な専門家で構成されています。<ものづくりが好きな仲間を探しています>弊社346では様々な職種でメンバーを募集しています。興味関心がある方はCAREERSよりお問い合わせください。