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ハードウェアスタートアップのデザイン戦略 第5回 事例で学ぶ!失敗したハードウェアスタートアップ紹介 

2022/7/5

ハードウェアスタートアップのデザイン戦略 第5回 事例で学ぶ!失敗したハードウェアスタートアップ紹介 

「ハードウェアスタートアップのデザイン戦略」第5回です。



前回「はじめる前に知っておきたかった課題10選」では、開発フェーズごとに沿った具体的な課題を明らかにしました。


今回は、残念ながら成功には至らなかったハードウェアスタートアップの実例を紹介し、そこからハードウェアスタートアップが成功する為の示唆を得ていきたいと思います。

 ※一度失敗に終わったそれぞれのスタートアップですが、かたちをかえて成功しているものもあります。それぞれの顛末も記載しているので、是非最後まで読んでもらえると嬉しいです。

 

1.  JIBO(ジーボ) ソーシャルロボット

JIBOとは?

JIBOはMITで人工知能を専攻していたCynthia Breazeal氏が開発をしたソーシャルロボットです。ユニークな動きと、球体の頭についたディスプレイはまるでスターウォーズに出てくる「R2D2」のような愛嬌があります。見る・聞く・話す・学習・お手伝い・理解、という機能を併せ持つ「初の家庭用ソーシャルロボット」として大きな注目を集め、資金調達額は約$7300万に達しました。 日本でもKDDIや電通ベンチャーズがJIBOに投資をするなど、日本での展開も期待されていました。

 JIBOの失敗

その期待とは裏腹に、2度の大規模レイオフなどを経て2018年には全ての知財が売却、2019年遂にJIBOのサービスは終了してしまいます。 JIBOの失敗の要因は下記のように言われています。

①   開発・出荷の遅延

 JIBOは開発の遅延により当初の発売予定2015年から2年も遅れ、最終的には2017年に発売。冒頭から出資者の期待を裏切るかたちでサービスがスタートしました。

②   海外注文のキャンセル

 当初世界各国の言語対応と出荷を約束していたJIBOですが、発売・出荷延期を繰り返す中で、突然海外の注文を受け付けない、という判断に至ります。当然ながら世界各国のユーザーを裏切るかたちとなり、ネットでも炎上します。

③   競合製品・模倣品の登場

 発売の延期を繰り返した2年間で、競合製品や模倣品の台頭を許すことになります。

JIBOの発表からリリースまでの間に、Google Homeを筆頭に競合製品が次々と市場に出回りました。更には中国の安価な模倣品まで出回ることになります。

いずれの要因も、根本的には計画に対するフィージビリティ不足と言えます。 開発フェーズ前半で狂い始めた歯車は、どんどんと状況が悪化していき、上市のタイミングで後戻りできない状況となっていたようです。

JIBOのその後

JIBOのサービス終了は、JIBO自身からユーザーにメッセージを伝えるという感動的な別れで話題を呼びました。JIBOがソーシャルロボットの先駆けとして大きな影響を与えたことは間違いありません。


Cynthia Breazeal氏は人工知能学会からAAAIフェローに抜擢されるなどご活躍されています。 

2.ランドロイド 全自動折り畳み機

ランドロイドとは?

次は日本から。セブン・ドリーマーズが開発を進めた「ランドロイド」は世界初の衣類折り畳みロボットとして大きな注目を集めました。画像解析・AI・ロボティクスの技術を駆使して、衣類をピックアップ・認識・畳む・仕分ける、という夢のような機能で、日本のハードウェアスタートアップとしては異例の100億円の大型資金調達を行いました。

ランドロイドの失敗

ランドロイドは展示会やショールームなど派手なPRを進めますが、「すべすべした素材の衣類が畳めない」といった課題に直面し発売は延期を繰り返し、赤字続きの結果2019年に経営破綻してしまいます。

ランドロイドの失敗要因には様々な見解があるようですが、下記が主な失敗の要因と言われます。

①技術要件の未達と開発遅延

ランドロイドは元々ハードウェアの開発技術を持っている会社ではなく、企画に基づいて外部の協力会社と連携し開発を行っていました。 結果多種多様な素材・形状の衣類を自動で認識して畳むという高い技術要求をクリアすることが出来ず、出口が見つからないまま時間が経過することになってしまいました。

②多大な宣伝広告費

ランドロイドは開発の実態が伴っていない状況の中、展示会やショールームなど宣伝広告費に多大な資金を投じます。上市が実現しないまま事業がとんざしてしまいましたので、広告費のほとんどは回収されずに終わってしまったものと思われます。

ランドロイドの失敗要因は開発要素と市場の見極めを見誤ってしまったことがすべてかと考えます。どんなに夢のある技術に投資をしようとも、それが製品として実現不可能なものであれば投資回収は見込めません。特に新規技術を使うハードウェア開発は、いかに実現可能な機能に絞って製品開発を進めるかが重要です。

ランドロイドのその後

ランドロイドが挑戦した衣類折り畳みの自動化は、まだ他社に於いても実現されていませんが、洗濯物を畳むだけに特化した製品など多くの会社に影響を与えたはずです。
セブンドリーマーズ・ラボラトリーズを創業された坂根氏は「GFIT」という為替リスクを適切にコントロールするソリューションを提供される企業の代表取締役としてご活躍されています。

 

3.  Ring ウェアラブルデバイス

Ringとは?

Ringはログバーが開発した、人差し指に装着し、指一本のジェスチャーで文字入力から家電の操作までできる、その名の通り指輪型のウェアラブルデバイスです。


米国でも注目を集め、Kickstarterでは目標額の3.5倍となる$88万を調達しました。 

Ringの失敗

しかし、出荷の遅延やデザインの変更で炎上するなどした結果、サービス終了するに至りました。Ringの失敗要因は以下が考えられます。

①   出荷遅延

Ringは量産化が間に合わず出荷の延期が重なったことで、購入者の不満が溜まってしまいました。

②   デザインの変更

Ringは予約開始後にデザインを変更し、炎上します。主にはバッテーリーのサイズが当初想定より大きくなり、製品になった際には当初予定よりも大きく、無骨な意匠になっていました。

③   そもそもユーザーがRingを何に使うか分からなかった。

指輪型のデバイスは一見画期的なものでしたが、ユーザーのどのような課題を解決するプロダクトなのか価値を提示しきれていなかったと考えられます。

表面的には炎上が一つの失敗要因とされていますが、根本としては市場のニーズを捉えきれておらず、その為デザインで伝えるべきものが定まっていなかったと言えます。

Ringのその後

Ringはスマートリングの先駆者で、2022年現在、Evering始めとした指輪型デバイスが注目を集めています。


ログバーは現在、翻訳デバイスの開発に取り組みご活躍されています。

以上3社について紹介をしました。

これら3社に共通して言えるのは、夢のような技術を掲げスタートを切ったものの、そもそもの技術やデザインが製品化に耐えうるもので無く、遅延や仕様変更を繰り返して失敗にいたった点です。

特に、要素技術として未完成のテクノロジーを掲げて、上市を前提としたハードウェアスタートアップをはじめる際には、注意が必要といえるでしょう。

あらゆる成功は、失敗の上になりたつもの。


先人たちの挑戦を教訓に、挑戦してこそイノベーションは達成されるものでしょう。


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* 参考文献: 

Jiboソーシャルロボット:物事がうまくいかなかった場所 (therobotreport.com)

なぜ「ランドロイド」は世に出られなかったのか【西田宗千佳のイマトミライ】-Impress Watch

https://medium.com/startup-lesson-learned/5-reasons-why-my-iot-startup-failed-19c5537e61e1

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