前回の製造業分析第1回では、日本における製造業の規模について説明いたしました。ここからは日本のイノベーションを推進するスタートアップ、とりわけハードウェアスタートアップに焦点を当てて話していきます。1. ハードウェアスタートアップの数 2022年時点でスタートアップは約6000社あります。うち、ハードウェアスタートアップは約600社で、全体のおよそ1割をハードウェア関連事業が占めます。 アプリやサービスなどソフト面の開発が盛んとはいえ、国内GDPの20%強が製造業である日本の現状を位置を考えると物足りない数字とも見えます。 下記、投資ラウンドごとの企業数を見てみると、シード・シリーズAで全体の40%を占め、シリーズB以降のラウンド後半は全体の20%程度です。1製品目の開発・量産資金をシリーズAで調達すると想定すると、ハードウェアスタートアップは上市後の資金調達(後続製品開発や事業拡大の為の資金調達)が非常に困難な市場であることが伺えます。 出典: Initialからのデータを元に346社作成 2. 国内スタートアップへの投資額 次に調達金額の観点でデータを見てみます。スタートアップへの投資額は2021年に飛躍的な伸びがあり1兆円規模に迫る勢いとなっています。米国を始めとしたスタートアップ先進国に遅れをとっている日本ではありますが、今後も投資市場の活性化が期待されます。出典: Initialからのデータを元に346社作成 3. 国内ハードウェアスタートアップへの投資額 ハードウェアスタートアップはソフトに比べ、より多額の調達が必要と言われています。中にはハードウェアスタートアップが本格的に量産して事業をスケールさせるためには数百億という資金が必要という投資家の見解もあります。ここで、ハードウェアスタートアップのへの投資額の内訳を見てみます。 下記のグラフは2010年〜2022年迄のハードウェアスタートアップ企業数約560社数の資金調達額を金額の多い順に積み上げたものです。出典: Initialからのデータを元に346社作成 560社の調達総額はおよそ5000億円であり、ハードウェアスタートアップの上位2割の企業が調達額全体の8割以上を占めています。さらに、半数の280社で調達額総額の3%を分け合う構成になっていることが分かります。また、100億円以上調達しているのは上位7社のみで、全体の僅か1%程度です。 盛り上がりを見せるスタートアップ投資ですが、ハードウェアスタートアップの必要とする資金との乖離はまだ大きいのが現状だと考えられます。 今回はここまでとして、次回からはハードウェアスタートアップの課題を深掘りしていきたいと思います。 弊社株式会社346では営業・デザインリサーチャーを募集しています。興味関心がある方は是非下記よりお問い合わせください。https://346design.com/careers弊社株式会社346では、本記事の連載または出版にご協力いただける企業を募集しています。興味関心がある方は是非下記よりお問い合わせください。https://346design.com/contact* 参考文献: 1.Initial: Japan Startup Finance https://initial.inc/enterprise/resources/japanstartupfinance2021 2.Monoist : 米国トップ投資家が語る「モノづくりベンチャーが日本で育ちにくい理由」 https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2003/23/news022.html