新着記事はTwitterでご連絡いたします。下記URLから是非ご登録ください。Twitter: https://mobile.twitter.com/can_knowデザインエンジニア概論第4回です。前回はデザインエンジニアの専門性について説明しましたが、今回はデザインエンジニアの専門性を持つ人材を開発チームに加えることによるメリットについて考えていきたいと思います。目次・従来型開発チームでの新商品開発の進め方・デザインエンジニアがいるチームでの進め方従来型開発チームでの新商品開発の進め方デザインエンジニアのいない従来型開発チームでは、おおよそ以下のような順序で商品企画から一次試作を実施するまでの検討を進めていきます。このケースの登場人物は、商品企画担当者1名、デザイナー1名、エンジニア2名です。企画立案後のおおまかな流れとしては、「要件定義」「構想設計」「詳細設計」3つのフェーズがあり、それぞれのフェーズ毎に承認プロセスがあります。ここではこれをGATE(ゲート)と呼びます。一般的には各GATEでの承認が得られない限り、次のフェーズには進めないというルールが設けられています。このようにGATEを利用した進め方をすることで、関係者間の認識齟齬排除や技術的なリスクの低減ができます。ここで注目すべきポイントは、各フェーズでデザインと設計行為が済む度に、デザイナーとエンジニア間、および事業部と開発部門間の整合性や合意形成を取る「すり合わせ」という作業が行われる点です。専門分野や担当者毎に優先すべきと考える項目が異なるため、このすり合わせ作業はさけては通れません。また、すり合わせは製品の良し悪しを大きく左右する重要な作業な為、時間をかけて慎重に実施されることが多く、上手くいかなければ開発の手戻りが発生してしまうポイントでもあります。もしも、顧客観点の稀薄なエンジニアや技術知識の少ないデザイナーがチームにいれば、すり合わせや手戻りに要する時間は無尽蔵に膨れ上がり、プロジェクトスケジュールはすぐにでも破綻してしまいます。デザインエンジニアがいるチームの場合では、デザインエンジニアがいる場合、新商品開発の進め方はどのように変化するのでしょうか。以下に、デザインエンジニアがいるケースの新商品開発の進め方を示します。このケースの登場人物は商品企画担当者1名、デザイナー1名、デザインエンジニア1名、エンジニア1名としており、先ほどのケースと関わる人数は同様としています。前回説明した通り、デザインエンジニアはデザイナーとエンジニアの中間領域的人材です。デザインエンジニアがデザインと設計作業に介入する場合、作業を進める段階でデザインとエンジニアリングの整合性は担保されますので、開発部門内でのすり合わせの作業が不要になります。このすり合わせ作業の省略がデザインエンジニアをチームに加えることによる、最も注目すべきメリットです。開発期間の短縮は試行回数を増やすことにもつながり、開発段階序盤でリスクの洗い出しを効率よくすることにも貢献します。特にスモールチームで取組むようなプロジェクトの場合は頼れるリソースに限りがありますので、領域横断可能なデザインエンジニアの存在はプロジェクト成功のカギにも成りえます。また、昨今は大企業病といわれるような、縦割り組織とそれに伴う非合理的な推進プロセスに課題感が持たれ始めていることもあり、デザインエンジニアに限らず、領域横断人材は様々な場で重宝される存在となるかもしれません。次回は、すり合わせで発生しがちなデザイナーとエンジニア間のコミュニケーション課題について深堀していこうと思います。関連記事デザインエンジニア概論 第1回「デザインエンジニアとは」デザインエンジニア概論 第2回 「ハードウェア開発とは」デザインエンジニア概論 第3回 「デザインエンジニアの専門性」デザインエンジニア概論 第4回 「デザインエンジニアの起用メリット」デザインエンジニア概論 第5回 「”デザインエンジニア思考”でつくるブランコ」<株式会社346について>346(サンヨンロク)はデザイン経営を中核にしたものづくりでテクノロジーの民主化を目指す開発・製造総合支援企業です。弊社346ではデザインエンジニアを募集しています。興味関心がある方は是非下記よりお問い合わせください。https://346design.com/careers弊社346では、本記事の連載または出版にご協力いただける企業を募集しています。興味関心がある方は是非下記よりお問い合わせください。https://346design.com/contact参考文献1.ー