
プロダクトデザインは、多くの企業が競争を繰り広げる中で、自社製品の特長をアピールし、消費者からの支持を集めるために欠かせないものです。また、プロダクトデザインを活用すれば製品の機能性や使いやすさだけでなく、ユーザーに感動や興味を与えることができます。その結果、製品の価値が上がり、ブランドイメージを高めることができるのです。
したがって、ビジネスにとってプロダクトデザインは製品の魅力を高め、企業の競争優位性を高めるために、非常に重要な要素と考えられます。
特にコモディティ化が進む業界企業では、製品開発におけるデザインへの注力、そしてデザインに対する投資が求められています。
本記事を読めば、プロダクトデザインの重要性、基礎的な知識、トレンドを知ることができます。
プロダクトデザインは、製品の形や機能だけでなく、ユーザーのニーズや感性を考慮した魅力的なプロダクトを生み出すためのデザインです。最近では、エコデザインやヒューマンセンタードデザイン、ストーリーテリングデザインなど、プロダクトデザインの中にも多様なトレンドが生まれています。
近年では、特にエクスペリエンスデザイン(顧客体験のデザイン)の重要性がうたわれ、製品だけでなく、ユーザーの体験や感情にも価値を提供することが求められるようになっており、この観点でもプロダクトデザインの重要性が今後高まるであろうと推察されます。
また、プロダクトデザインにはデザインとビジネスそして新しい技術の融合により、新たな価値提供を行うことも期待されています。例えば、AIやVRの進化は、プロダクトデザインの可能性や適応される領域がさらに広がりをもたらしています。
本記事ではプロダクトデザインの基礎から最新のトレンドや事例を紹介しています。読者の皆様には、プロダクトデザインの魅力に触れ、自らの創造性を高めるきっかけになっていただければと思います。
プロダクトデザインとは、製品やサービスのデザインを行うことです。また、プロダクトデザインは必ずしもハードウェア製品のデザイン限られたものではなく、アプリやサービスなども含む広義のプロダクトを意味します。プロダクトデザインとインダストリアルデザインの違いについてはこちらの記事で詳述しています。
プロダクトデザインは、消費者にとって使いやすく、美しく、機能的な製品を提供するために必要不可欠なプロセスであり、企業の競争力にも直接影響します。
また、プロダクトデザインは、その製品の利用において考慮するべき要素があります。例えば、製品の外観や色彩、使用感や操作性、保管や運搬、保守管理のしやすさなどが挙げられます。これらの要素を考慮して、最適なデザインを作り上げることで、消費者にとって魅力的な製品を生み出すことができます。
さらに、プロダクトデザインは、製品のブランディングにも貢献しますす。製品のデザインには、その製品を提供する企業のイメージや価値観などが反映されるため、企業のブランドイメージを高めることができます。そのため、プロダクトデザインは、製品の利用者だけでなく、企業にとっても重要な役割を担っています。
昨今頻繁にもちいられるデザイン思考について解説します。
デザイン思考に基づいた製品開発の流れは、以下のようになります。
ユーザーのニーズを洗い出す段階で、顧客とのコミュニケーションを重視します。
問題解決のために、アイデアを生み出し、ブレストを行います。そこから、プロトタイプを作り、早期にテストして、改善することを繰り返します。最終的に、プロダクトが完成し、顧客とのフィードバックを元に、改善していきます。
図:デザイン思考に基づく製品開発の流れ

このような流れは、製品開発において、ユーザー中心のアプローチを取り入れることができ、課題の本質をとらえたプロダクトを作ることに貢献します。また、早期にテストをすることで、問題点を発見・改善することができるため、従来型の開発よりも手戻りリスクが少なく、効率的な開発が可能となります。
デザイン思考の活用によって企業は市場競争力の高い製品を開発できる可能性があるのです。
近年では、デザイン思考を代表とするユーザー中心の設計手法が注目されています。
プロダクトデザインにおいて、ユーザー視点は非常に重要な要素です。製品をデザインする際に、ユーザーのニーズや行動原理を考慮することは、ユーザー体験を向上させるだけでなく、製品そのものの市場競争力を高めることにもつながります。
ユーザー中心の設計手法に基づくプロダクト開発では、デザインチームはユーザーの声を聞き、問題点を特定することに注力します。このアプローチによって、製品の使いやすさ、機能性、外観など、ユーザーが求める要素を反映した製品の定義が可能になるとされています。
また、ユーザー視点を重視することで、製品の新しい市場や需要を発見することもできます。例えば、Apple社のiPhoneが従来の電話とは異なる操作性やデザインによって、新しいユーザー層を開拓していったことも、その一例といえるでしょう。
エコデザインは、環境や持続可能性に配慮した製品開発のアプローチであり、近年注目されているデザインの考え方です。エコデザインのアプローチは製品のライフサイクルに応じた4段階のプロセスで捉えることができます。
以下より各要素ごとに事例を見ていきます。
図:製品のライフサイクルとエコデザインの要素

① 原材料の選択
エコデザインにおける原材料は例として下記のような選択肢が挙げられます。
再生可能性: ソーラーパネルを使用したモバイル充電器、または生分解可能な食品包装など
リサイクル可能性: リサイクル可能なPET素材を使用した飲料ボトル、または再生プラスチックを使用した容器など
ローカルな素材: 地元の木材や石材を使用した家具や建材など
無害な素材: 有害物質を排除したオーガニックな衣料品や化粧品など
② 製造プロセスとライフサイクル
製造プロセスにおいてもエコデザインの観点は重要であり、以下に挙げることを考慮する必要があるます。
エネルギー効率: より少ないエネルギーで製品を生産できる工程であること
低廃棄物プロセス: 副次的な産業廃棄物などが発生しない工程で製品を生産できる工程であること
耐久性と修理可能性: 耐久性やメンテナンス性を考慮し、より長い時間使うことができる製品設計であること
廃棄のしやすさ: 環境に配慮された素材を使用するだけでなく、ばらしやすく分別しやすい製品設計であること
③ 使用段階での効率化:
ユーザーが使用することを通して環境への配慮を実現することも可能です。例えば、以下のような考え方や事例があげられます。
資源の節約: 高効率の節水トイレや自動給水システムを備えた洗濯機
環境負荷の削減: 二酸化炭素排出を抑えた電気自動車や、燃費の良い省燃費車
使用者の環境意識の変革: エネルギー使用量や環境負荷の可視化を行うスマートメーターやアプリ
これらエコデザインは、企業の社会的責任を果たすだけでなく、事業にも大きな利益を生み出すことがあるとされています。消費者目線ではエコデザインが考えられた製品を選択することで環境保護に貢献することができます。
しかし、エコデザインには課題もあります。たとえば、環境への配慮を考えた製品は製品価格が高騰しがちであったり、製品の機能性や安全性に影響を与えることがあります。これらの課題に対処するためにも、企業の継続的努力が求められているのが現状といえます。
近年ではAIやロボティクスの活用においても、人間の行動や習慣、感覚に合わせてデザインすることが重要視されています。AIとロボティクスを活用したデザインにおいてポイントとなる観点や例を以下に列挙します。
① テクノロジーによる顧客体験の向上:
パーソナライズ: AIによるユーザーの好みやニーズの分析を活用した推奨システム(例: Netflix、Spotify)
自動化と省力化: ロボットやAIアシスタントを介したタスク自動化(例: iRobot Roomba、Amazon Alexa)
② 人間と機械の協調による効率化:
コラボレーション:人間とロボットの共同作業や協調タスク(例: コボット、協働ロボット)
自律的な決定や支援:AIによる意思決定支援(例:リコメンドAI)
能力の補完: や人間の能力を補完するロボット(例: 自動運転車、医療用ロボット)
③ ユニバーサルデザインへの活用:
バリアフリー化: AIやロボティクスを利用して、身体的な制約を持つ人々の日常生活をサポート(例: AIリハビリテーションロボット、AI翻訳アプリ)
多様化: 膨大なデータセットを活用し、より多くのニーズに対応(例: 音声認識の多言語対応、ダイバーシティを考慮した顔認識技術)
AIやロボティクスを適切にデザインできれば、これまで以上に効率的で多様な製品の開発が可能であり、新たな市場の開拓も期待されます。ただし、技術の進化は、倫理面や社会的問題への配慮も必要であり、デザインの過程での倫理的検討も重要な論点です。
ストーリーテリングデザインは、ブランドや製品・サービスを単なる商品ではなく、人々に共感を呼び起こすストーリーのある存在として捉え、伝える為の手法です。ストーリーテリングデザインに取組むことで、製品に込められたメッセージや価値観を顧客に伝えることができ、その結果、消費者は製品に共感や愛着を持つことにつながります。
プロダクトデザインにおいてストーリーテリングを考える際には以下の事柄に着目します。
① 目的と共感:
ブランドのミッションや価値観を伝える: ブランドの創業ストーリーやビジョンを通じて共感を呼び起こす
顧客のストーリーにつなげる: 顧客の体験や物語を活用してブランドとの結びつきを強める
② 強烈なキャラクターとアイデンティティ:
ブランドキャラクターの活用: 特定のキャラクターやマスコットを通じてブランドの個性や特徴を表現する
ブランドのアイコンやシンボルの使用: シンプルで視覚的に認識されるアイコンやシンボルを通じてブランドを象徴する
③ 物語性と感動:
ストーリーの構造: 起承転結などの抑揚的な構造を用いブランドストーリーを構築する
感動の創造: ブランドのストーリーを通じて顧客の感情に訴える、感動的なストーリーを設計する
④ 情報発信
マルチチャネル戦略の展開: オンラインやオフラインなど複数のメディアとチャネルを組み合わせてブランドストーリーを発信する
ユーザー参加型: 顧客がブランドストーリーに参加し、自分自身の物語を共有できる仕組みを提供する
ストーリーテリングデザインは、ブランドの認知度や支持度を高めるための重要な手法であり、プロダクトデザインをする際にも重要な要素です。
今回の記事では、プロダクトデザインの基礎知識と最新トレンドを紹介しました。プロダクトデザインは製品の魅力を高め、企業の競争優位性を高めるために、非常に重要な要素であり、その中にも様々な手法や考えるべき要素があります。
また、プロダクトデザインの良し悪しを評価するには、製品自体だけでなく、ビジネスの側面も考慮する必要があります。デザインが優れていても、製品が市場で成功しなければ意味がありません。そのため、製品開発の段階からビジネス面を意識したデザイン戦略を立てることも大切です。
是非これをきっかけにプロダクトデザインの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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