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デザインレビューとは?目的や製品開発を成功に導く効果的な進め方を解説

2024/3/2

デザインレビューとは?目的や製品開発を成功に導く効果的な進め方を解説

デザインレビュー(DR)とは、製品の仕様、図面、試作品などを、設計者や関係部署が開発要件を満たしているのかをチェックし、次の開発段階への移行の可否を判断するプロセスです。

この記事では、デザインレビューの基本的な概念やその目的、効果的な進め方や注意点について、具体的な事例を交えて説明します。

製品のデザインや設計品質の向上に興味がある方や日々の業務でデザインレビューに努めている方は、ぜひ参考にしていただけたら幸いです。

筆者経歴

株式会社346
創業者 共同代表 菅野 秀

株式会社リコー、WHILL株式会社、アクセンチュア株式会社を経て、株式会社346を創業。これまで、電動車椅子をはじめとする医療機器、福祉用具、日用品などの製品開発および、製造/SCM領域のコンサルティング業務に従事。受賞歴:2020年/2015年度 グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)、2021年/2017年度 グッドデザイン賞、2022年 全国発明表彰 日本経済団体連合会会長賞、2018 Red dot Award best of best、他。アイティメディア株式会社の情報ポータル「Monoist」で連載中

1.デザインレビューとは?

デザインレビュー(DR)とは、製品の設計図や試作品などを、事前に取り決めた開発要件と照らし合わせて評価し、次の開発段階へ移行してよいのかを判断することをいいます。その目的は、主に製品開発におけるQCD(品質、コスト、納期)の担保であり、デザインレビュー会議の場では製品の設計者とさまざまな部署の人間が議論を行います。

デザインレビューは製品開発のプロセスに沿って複数回行われるのが一般的ですが、頻度やタイミングは企業によってさまざまです。

【デザインレビュー(DR)のイメージ図】

デザインレビューは、関連するISO(国際標準化機構)でも必要事項とされて、品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO9001」にその手順が記載されています。ここでは、製品の品質向上と安全確保を目指すため、デザインレビューの適切な実施を推奨しています(参照:Q 9001:2015 (ISO 9001:2015) /8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー丨kikakurui.com)。

(1)デザインレビューの種類

デザインレビューには、「フォーマルデザインレビュー」と「インフォーマルデザインレビュー」の二つの形式があります。

フォーマルデザインレビューは、設計者のほか、他部門の責任者や外部の専門家が参加し、定められた手順に従って設計の適切性を評価する形式です。主に重要な設計段階で実施され、確認項目や評価基準は明確に設定されます。

一方、インフォーマルデザインレビューは、より柔軟で日常的な形式です。設計者同士や特定のチーム内で主に意見交換しながら、簡易的なチェックやフィードバックが行われます。

【フォーマルレビューとインフォーマルレビューの違い】

フォーマルデザインレビュー

インフォーマルデザインレビュー

形式

正式な手順に則ったレビュー

柔軟な手順のレビュー

参加者

設計者のほか、他部門の責任者や外部の専門家

設計者同士や特定のチーム

目的

あらかじめ定められた判定基準に従って、設計の適切性を評価

簡易的なチェックやフィードバック

インフォーマルデザインレビューは必ず行わなければならないものではありませんが、フォーマルデザインレビューを効率的に進めるためにも、その実施が推奨されています。

(2)デザインレビューの目的と重要性

デザインレビューの主な目的は、製品の企画や試作製作などにおける問題点を早期に発見して修正を行い、製品開発のQCD(品質、コスト、納期)を担保することです。これにより、製品全体の品質向上と効率的な開発推進が実現可能です。

製品開発では、競合他社に対して優位性を保つためにも、一定以上の品質確保が必要です。

ただ、例えば製品の量産段階まで進んだ後に、品質難が発覚し製品の企画段階からやり直す、となると、リリースまでの時間がかかりすぎてしまいます。手戻りに対応している間に、競合他社が同様の製品を販売してしまうかもしれません。また、やり直すことで、そこまでかけた人的コストや金銭的コストが一部無駄にもなってしまいます。

デザインレビューは、製品プロセスの各フェーズにおいて、本当にこの成果物で進めてよいのかを製品開発に関わるさまざまな立場の人が評価し、判断していくことを前提としているため、上記のようなリスクを避けられます。製品開発におけるQCDの担保は、デザインレビューにかかっていると言っても大げさではありません。

(3)デザインレビューの主な参加者と役割

デザインレビューには、それぞれ専門性を持つ参加者が必要です。工業製品開発を例としたときの主な参加者と役割を以下の表で示します。

【デザインレビューの参加者とその役割の例】

参加者

役割

・設計担当者

・レビュー対象となる、設計書やプロトタイプを作成

・プロジェクトマネージャー

・レビューの進行と品質チェック

・関連部門責任者(営業・マーケティング、製造責任者など)
・経営陣
・その他関係者(ユーザーや販売代理店担当者など)

・各々の立場から、フィードバックを提供

設計者はレビュー対象となる設計書やプロトタイプを作成し、デザインレビュー時にそれに関する説明を行います。プロジェクトマネージャーはレビューの進行と成果物の品質を確認するのが主な役割です。

各部署の責任者や経営陣、その他関係者は、各々の立場からの観点で設計内容を評価します(以下、これらの参加者は「製品開発の関係者」と呼びます)。必ずしもすべてのデザインレビューに参加するわけではなく、デザインレビューの内容に応じて同席するのが一般的です。

これらの役割分担により、検討項目の抜け漏れをできる限り防ぎ、デザインレビューを効果的に進めることができます。

2.デザインレビューの実施フェーズとポイント

デザインレビューを実施するフェーズは、各企業やプロジェクトの大きさ・複雑さなどによって異なります。

ここでは、下記の一般的なタイミングに沿って、実施内容と気をつけるべきポイントをご説明します。また、今回解説する内容はあくまで一例ですので、実施内容はこれに限らないということに留意ください。

  1. 設計着手前

  2. 構想設計後

  3. 詳細設計後(試作出図前)

  4. 試作製作後

  5. 量産設計後(金型出図前)

※各フェーズに、DR0、DR1、DR2、DR3、DR4……と名付けるときもあります

(1)設計着手前

設計着手前のデザインレビューは、製品開発の初期段階で行われる重要なステップです。

設計者によって作成された要求仕様(開発製品に備えておきたい機能や特性などが記載された資料)をもとに、製品開発の関係者が評価を行います。

具体的なアジェンダは以下の通りです。

【設計着手前DRのアジェンダ】

アジェンダ

内容

製品の概要

製品の目的、ユーザーの需要、市場の動向などを共有

設計方針

技術的な指針、設計上の制約などを明示

リスクと問題点

現時点で発覚しているリスクや課題の共有

要求仕様は目標となるQCDの具体的な値を定めるモノであり、製品の成功に向けては非常に重要な情報となります。従って、この段階での細かいフィードバックと意思疎通は各関係門間で丁寧に実施する必要があります。

(2)構想設計後

構想設計後のデザインレビューは、より具体的な製品イメージが描かれる重要なフェーズです。要求仕様をもとに設計者が試作設計書を作成し、それを製品開発の関係者が以下の視点から評価します。

【構想設計後DRのアジェンダ】

アジェンダ

内容

機能性確認

製品の機能、使いやすさ、性能など要求事項が適切に考慮しているかを評価

デザイン(意匠)確認

製品の外観や触感、ユーザーインターフェースなど、利用者が感じる魅力が十分に表現されているかを評価

法規対応の確認

社内で策定された規格やISOの規格をクリア可能かを評価

製造性の確認

設計が製造工程を考慮したものになっており、量産時のコストおよび品質が担保できるかを評価

上記からわかるように、構想設計後のデザインレビューでは、定められたQCDが目標を実現できるかが焦点となります。

(3)詳細設計後(試作出図前)

試作設計後のデザインレビューは、作成した試作の図面に対して、製品開発の関係者が評価を行う段階です。

具体的なアジェンダは以下のとおりです。

【詳細設計後DRのアジェンダ】

アジェンダ

内容

図面・3Dデータチェック

構想設計で定義した内容の反映漏れや設計上ミス、改善可能な点がないかを図面および3Dデータを介してチェック

設計変更の必要性確認

課題が明確であり設計変更が必要な項目については、設計を修正し、該当項目に関して再度レビューを実施

これらのアジェンダを踏まえてデザインレビューを行い、当該試作で検証すべき項目に関する問題が解消されれば、出図(図面を発行して製造部門に配布)に移行します。

(4)試作製作後

試作製作後のデザインレビューでは、製品開発の関係者が、試作品をもとに「試作品が設計の想定通りに機能するか」「想定外の問題点がないか」などをチェックし、改善点を洗い出します。また、試作品に対して行った評価結果の報告書などの確認も行います。

具体的なアジェンダの例は以下の通りです。

【試作製作後DRのアジェンダ】

アジェンダ

内容

試作精度の確認

製作された製品が設計図通りの形状と寸法かを評価

機能性

製品が設計通りの機能を実現しているかを評価

安全性

製品が規定された安全基準を満たしているかを評価

外観

製品が想定した質感や色を適切に表現しているかを評価

問題点・改善点

製作過程で見落としていた問題点や改善可能な要素があるかを検証

試作品に対するデザインレビューは、不具合や故障、安全面におけるリスクなど、製品化後に発生すると事業へのインパクトが大きいリスクを事前に排除するためにも、非常に重要なプロセスとなります。

(5)量産設計後(金型出図前)

量産設計後のデザインレビューでは、評価基準をクリアした試作品をもとに、量産体制に入る前に行われます。製品開発の関係者によって、最終試作や、量産出図にあたって必要となる規格書や報告書などのチェック・評価が行われます。

具体的には、以下のチェックポイントが考慮されます。

【量産設計後DRのアジェンダ】

アジェンダ

内容

量産体制の確認

サプライヤー選定や人員確保が行われ、量産体制が十分に整っているのかを評価

コスト

量産コストが予算内に収まっているかを確認

品質

量産時の品質基準および検査方法が定められ、品質管理の体制が適切に構築されているかを評価

量産設計後のレビューは上市前(市場に出す前)最後のデザインレビューの場であり、この段階でのレビューをしっかり行わないと、不具合や品質問題が量産品にも波及し、大きなリスクとなる可能性があります。また、この断面で製造コストが成立していなければいくら品質が良い製品ができたとしても不採算事業になってしまいますので、慎重な判断が必要にもなります。

3.デザインレビューの注意点

デザインレビューを行うときには、主に以下の点に注意する必要があります。

  1. デザインレビューのスコープ定義

  2. フィードバックの受け取り方と反映方法

  3. デザインレビューの頻度

(1)デザインレビューのスコープ定義

デザインレビューを効果的に進めるためには、そのスコープを明確に定義することが重要です。

スコープとは、今回のデザインレビューで重視する項目、または確認するポイントを指します。デザインレビューのスコープを明確にしておかないと、レビューの時間が足りず、フィードバックが中途半端なものになりがちです。

つまり、確認対象から外す要素を明確にすることも、レビューの効率化やミスの防止によりつながります。

例えば、技術的な問題やコスト面はエンジニアや経営陣と別の機会に話し合う、というように項目ごとにレビューを切り分ければ、レビューの回数は増えてしまものの、各レビューの内容が有意義なものになり、結果的に製品開発がスムーズに進むになることもあります。

(2)フィードバックの受け取り方と反映方法

デザインレビューでは、多様な視点からのフィードバックが設計者に寄せられます。ただし、重要なのは、どのフィードバックをどの程度反映するかです。設計者やプロジェクトマネージャーは、フィードバックの受け取り方と反映方法を工夫をする必要があります。

フィードバックはその全てを受け取り、反映する必要はありません。まずは、それがプロジェクトの目標や要求仕様と整合しているか客観的に評価する必要があります。それには、フィードバックの内容を具体的かつ明確に記録し、それを元に反映の優先度を決めることが有効です。

また、フィードバックを反映する際は、具体的なアクションプランを立て、「何を」「いつまでに」行うのかを明確にすることが重要です。アクションプランは、例えば以下の表のようにまとめると、情報が整理されて視覚的にもわかりやすくなります。

【フィードバックの管理方法(例)】

フィードバック内容

優先度

アクションプラン

期限

ボタンデザインの改善

デザイン案の再作成し、関係者と最終確認の場を設ける

〇月〇日

フィードバックの受け取り方と反映の進め方次第で、デザインレビューはより効果的なものになるでしょう。

(3)デザインレビューの頻度

デザインレビューの頻度設定は、設計者やプロジェクトマネージャーなどの製品開発チームにとって重要な論点です。頻度が多すぎると作業が滞り開発スケジュールに影響が出る可能性があり、一方、少なすぎると設計ミスを見逃すリスクが高まります。

適切な頻度を見つけるためには、以下の考慮が必要です。

  • プロジェクトの規模と複雑さ:大規模で複雑なプロジェクトほどレビューの頻度を高めに設定

  • 開発スケジュールとリソース:限られた時間と人員のなかで、最も効率的なレビューサイクルを計画

  • 問題の数や改善状況:問題の下図や改善状況によってレビュー頻度を増減

  • フィードバックタイミング:プロジェクト計画上、チームが最も効果的と感じるタイミングにレビューを設定

これらのポイントをおさえておくことで、製品開発チームに負担をかけずに、デザインレビューの効果を最大限に引き出せます。

5.製品開発に関するお悩みなら346へ

デザインレビューは、製品開発およびその品質担保において不可欠な取り組みです。

ただ、より品質の高い製品を開発しようとするが為に、各関係者が設計者に厳しい指摘をしすぎてしまい、設計者が疲弊することがしばしば見られます。それによって、製品開発が頓挫する結果となってしまうケースもなくはありません。

上記のような事態を避けるためには、設計者をはじめ製品開発の関係者が日頃から密にコミュニケーションを取るとともに、デザインレビューのなかでそれぞれが何をすべきかを把握する必要があります。デザインレビューを実際にすることと同じくらい、それに向けて準備をする時間を確保することが不可欠なのです。

弊社346は、デザインをはじめとし、さまざまな専門家が所属するデザインファームであり、デザインの活用支援やデザイン経営の導入支援を行っています。デザインレビューに関する相談も多く受け付けており、その経験からあらゆる悩みに対して的確なアドバイスをすることも可能です。

デザインレビューを円滑に進めるためのコツを、もっと具体的に知りたいとお考えでしたら、ぜひ346にお問い合わせください。

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