TOP

>

BLOG

>

デザイナーが知っておきたい 知財文献紹介【第3回】安心と安全を感じさせるATMカバー

2022/6/11

デザイナーが知っておきたい 知財文献紹介【第3回】安心と安全を感じさせるATMカバー

新着記事はTwitterでご連絡いたします。下記URLから是非ご登録ください。

Twitter: https://mobile.twitter.com/346design


 特許、意匠などに付随する文献を紹介する第3回目です。

 本連載は筆者が気になって調べてみた知財を紹介していきます。

 第3回目は、だれもが一度は目にしたことがあるであろう、セブンイレブンのATMについてです。

 この"つつみこむような安心感"、"やさしい印象のラウンドデザイン"と紹介されているるカバーは、特許として登録されています。

■ 特許6551501

【発明の名称】現金自動預払機、現金自動預払機のカバー及び端末装置

【出願人】日本電気株式会社

【図2】出典:J-PlatPat,特許6551501

 さて、本文献の書誌には少し見慣れない言葉があります。【新規性喪失の例外の表示】とはなんでしょうか?

 発明が特許として認められるには「新規性」が必要です。特許出願は原則として、発明の公表前に出願する必要があります。仮に特許出願の前に発明を公表してしまうと、発明が公知のものとなってしまい、公表後の出願は新規性がないみなされてしまいます。

 しかし、特許庁曰くそれでは発明者に対してあまりにも酷とのことで、発表から一年以内に例外適用の旨を記載し出願、そして出願前に発表していたことを証明する書面を提出すれば例外規定が適応されます。

 ※『発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について』(特許庁)のホームページ内の図を基に、コンテンツ利用に基づき弊社346にて加工、作成

 ただCASE3のように、発表後一年以内に出願した場合でも、先に同様の特許を第三者が出願していた場合、新規性が認められません。

 今回のセブンイレブンのATMカバーは、出願前の実証実験などでその発明が公知のものになっていたため、例外規定の適用を申請したということです。


 さて、文献の方に戻りますと、本発明は背景技術とする先行文献のような垂直な平板では後方からの視線を遮断できず、利用者に不安感を与えると論じています。

特開2003-331338

【発明の名称】自動機

【出願人】株式会社日立製作所

【図11】出典:J-PlatPat,特開2003-331338

 そのため本発明は、半透明の曲面カバーで側面(4)から上面にかけて操作部(1)包み込むことで、その課題を解決できると論じています。

【図1】出典:J-PlatPat,特許6551501

 では、このカバーのどのような点が安心感を与えるのか?という点について、文献では造形の一つ一つにわたり説明がなされています。

 例えば下記図3の上面(22)が側面端部(22B)から滑らかに奥に短くなっている点について、上下の圧迫感が軽減されながらも左右からの視界を遮ることができるとのことが説明されています。

【図3】出典:J-PlatPat,特許6551501

 見ればなんとなくどういう効果を狙って造形されているのかはわかっても、こと特許となると審査官に向けて言葉にする必要があります。

 逆に言えば、特許を見ればなるほど!この造形はこういう言葉で説明するんだ!とわかることがあります。つまり、特許文献を読むことが造形の言葉による表現、テクニカルライティング力向上の一助になるということです。(ちょっと堅いですが)

 今回はここまでとし、次回もよろしくお願いいたします。


弊社株式会社346ではインダストリアルデザイナーとエンジニアを募集しています。
興味関心がある方は是非下記よりお問い合わせください。

https://346design.com/careers


参考文献
1.J-PlatPat,特許6551501,現金自動預払機、現金自動預払機のカバー及び端末装置
2.J-PlatPat,特開2003-331338,自動機
3.特許庁,発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について

資料請求はこちらから