企業や製品のブランドを優れたものにするには、ブランディングに関する様々な専門知識が必要になります。事業の成功率を上げる為にも、企業や製品のブランドをデザインできる専門企業に依頼することもひとつの手です。しかし、国内だけでも多くのブランドデザイン会社があり、どこに依頼して良いかの判断に困ることもあるかと思います。この記事では日本法人のある主要なブランドデザイン会社5社を紹介しています。選ぶポイントや、依頼する前に押さえておくべきことを解説していますので、ブランドのデザインができる会社をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。筆者経歴株式会社346 創業者 共同代表 菅野 秀株式会社リコー、WHILL株式会社、アクセンチュア株式会社を経て、株式会社346を創業。これまで、電動車椅子をはじめとする医療機器、福祉用具、日用品などの製品開発および、製造/SCM領域のコンサルティング業務に従事。受賞歴:2020年/2015年度 グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)、2021年/2017年度 グッドデザイン賞、2022年 全国発明表彰 日本経済団体連合会会長賞、2018 Red dot Award best of best、他。アイティメディア株式会社の情報ポータル「Monoist」で連載中。1.ブランドデザイン会社5選以下では、代表的なブランドデザイン会社を5つ紹介します。株式会社インターブランドジャパンAXHUM LIPPINCOTTLandor & FitchPAOS東京合同会社株式会社346(1)株式会社インターブランドジャパン引用:株式会社インターブランドジャパン株式会社インターブランドは設立から40年以上にわたり、ブランディングの領域で世界をリードする存在として知られている会社です。世界中に支社を設けており、インターブランドジャパンはロンドンとニューヨークに次ぐ、第3の拠点として東京に設立されました。2022年には世界三大デザイン賞のひとつとされる、ドイツの国際デザイン賞「iFデザインアワード2022」(コミュニケーション分野、カンパニーブランドデザイン)を受賞しています。同社では、戦略やクリエイティブ、そしてテクノロジーの複合的な専門性で、クライアントのブランドとビジネスの成長を促進する強力な支援を行なっています。(2)AXHUM LIPPINCOTT引用:AXHUM LIPPINCOTTAXHUM LIPPINCOTTは、グローバルなネットワークを持つクリエイティブコンサルタント会社です。クライアントの課題に対し、一流のビジネスコンサルティングの鋭敏さと厳密さや世界トップクラスのイノベーションとデザインの力を動員し、解決策を提案します。外資企業でありながらも、日本独自の文化や価値観への理解と発想を持ち、企業や組織のコーポレートブランディングやアイデンティティ経営に関する戦略立案と具体的な施策に取り組んでいます。これまでに多くの国内大手企業のブランディングの実績があります。(3)Landor & Fitch引用:Landor & FitchLandor & Fitchは、世界中に広がるネットワークを持つブランディング企業です。各国に広がる人的リソースによって、クリエイティブなブランドデザインを生み出しています。特に、コンサルティングや戦略的デザイン、小売店や職場のデザイン、モーションデザインなどを得意領域としています。昨今ではLandor & Fitchは、Topo Chico(コカ・コーラ社の新アルコール飲料)のブランディングにより、世界的に有名なデザイン賞である「iFデザインアワード2023」を受賞しています。また、テニスの四大グランドスラム大会のひとつ「全豪オープン」のブランドデザインもLandor & Fitchによるものです。(4)PAOS東京合同会社引用:PAOS東京合同会社PAOS東京合同会社は、日本型CI(コーポレート・アイデンティティ)を生み出した企業です。50余年の歳月をかけて、100社を超える企業にデザイン経営を提案しています。顧客企業とともに経営革新・事業創出を推進し、生産価値・経済価値に加え、文化価値・環境価値・人間価値の連立を目指す事業に取組んでいます。近年はサステナブルやSDGs、人口減少、地域活性化なども踏まえた、ブランディングの支援もしています。(5)株式会社346引用:株式会社346最後は弊社の紹介となります。株式会社346は製造業に特化した多様な専門性で、事業企画や製品開発、販売などのメーカー業務全域を総合的に支援しています。製品や事業ブランディングについても力を入れており、特に技術観点を伴う製造事業のブランディングを得意としています。株式会社346は日本のデザイン賞最高位でもあるグッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)を筆頭に、国内外問わず数多くの受賞実績を保有しています。また、社内にはブランディングの専門家だけでなく、エンジニアやデザイナーなど様々な人材リソースを保有しており、顧客企業のニーズや経営資源に合わせた柔軟なサービスを提供しています。2.ブランドデザイン会社選びのポイントブランドデザインを依頼する会社選びのポイントは以下の3つです。過去実績業務の対応範囲専門領域(1)過去実績過去の実績を確認することは、ブランドデザインを委託する企業を選ぶ際の重要なポイントです。なぜなら、過去の実績はその企業の能力や信頼性を示すものであり、またどれだけの経験と実績を持っているかを評価する手がかりとなるものだからです。また、その会社の特徴や強みを把握でき、自社のブランドイメージに合うか判断することもできます。過去実績を評価する際の具体的な観点としては、以下のような項目があげられます。過去プロジェクトの多様性と規模類似業界や競合他社への提供実績プロジェクトの成果とクライアントの満足度(2)業務の対応範囲委託する企業が提供する業務の対応範囲は、プロジェクトを滞りなくすすめるにあたっては重要な要素です。ブランドデザインの業務は多岐に渡るため「〇〇までやってくれると思っていたのに依頼できなかった」というようなことが発生することも少なくありません。従って、まずは自社が依頼したい業務と依頼先が対応できる業務の範囲が適合しているかをチェックする必要があります。例えば、ブランドデザインのプロジェクトにおいては、以下の様な業務範囲があげられます。ブランド戦略の策定: ブランドデザインの目標やビジョンを明確にし、企業の方向性を定義ブランドアイデンティティの開発: ブランドの視覚的な象徴であるロゴやデザインガイドラインなどを策定マーケティングコミュニケーション: ブランドのコアメッセージを策定し、効果的なコミュニケーション手法(広告キャンペーンやSNS運用)を設計するクオリティコントロールと一貫性の維持: ブランドガイドラインやコミュニケーションガイドラインをの運用し、ブランディング活動の効果をモニタリングブランド評価と戦略の調整: ブランドの成功を測定するための評価指標を設定し、効果を評価する。マーケットの変化や競争状況に応じてブランド戦略を定期的に見直し、調整デザインとクリエイティビティ: ブランドガイドラインに従い、広告キャンペーンのデザイン、ウェブサイトの開発など、クリエイティブな業務を提供ひとつの会社に網羅的に関わってもらえれば、一貫性のあるブランディングをスムーズに構築することができる可能性が高まります。ただし、この場合は費用が多くかかることがあるため、ガイドラインなどを上手く活用し、一部の業務を内製化することも打ち手のひとつです。(3)専門領域委託先が対象業界に関する専門性を持つかどうかは、ブランドデザインのプロジェクトの成功に大きな影響を与えます。技術的な要素や業界の商習慣などは特に重要な観点であり、ブランドデザインを行う企業自体が業界知識を有していれば、効果的なブランド戦略が導ける可能性が高まります。業界に関する専門性を評価する際には、以下の観点が重要です。業界知識とトレンド把握: 委託先が対象業界のトレンドや市場動向を把握し、それに基づいたブランドデザイン戦略を提供できる知見や実績を有しているか競合分析とポジショニング: 対象業界の競合状況を理解し、ブランドの適切なポジショニングを設計できる知見や実績を有しているか業界固有の課題への対応力: 業界固有の課題や規制に対処できる専門知識や人的リソースを有しているか3.依頼する前に押さえておくべきことブランドデザインを依頼する前には、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。ブランドイメージの明確化期待する成果や目標の設定予算と期間の設定(1)ブランドイメージの明確化事前にある程度自社ブランドのイメージを具体化しておくと、ブランドデザインの依頼がスムーズになります。具体的には、自社の事業内容や強み、理念を確認し、ブランドが目指す方向性や理想を言語化しておくことなどがあげられます。また、競合他社と差別化できる要素も依頼先に伝えられる準備をしておくとなおよいです。(2)期待する成果や目標の設定ブランドデザインを行う会社に依頼する前に、プロジェクトを通してどのような成果を得たいのかを設定しましょう。期待する成果や目標の例として、成果物であれば「ブランド戦略」「ロゴ」「ブランドガイドライン」など、目標(KPI)であれば「認知度」「マーケットシェア」などがあげられます。このように、成果や目標を具体的にすることで委託先に対する要望が明確となり、円滑に委託先とのコミュニケーションをすすめることができます。(3)予算と期間の設定ブランドデザインのサービスは多岐にわたるため、作業の内容や規模などによって費用は大きく変動します。事前に予算と期間を設定することで、その範囲内で最適なプランを委託先から提案してもらえます。また、予算や期間が不明瞭なままでは、追加料金が発生する可能性や、予期せぬトラブルが起きる可能性がある為、細心の留意が必要です。また、期間を設定しておくことで進捗状況を確認しやすく、人員計画の目安もたてやすくなるでしょう。4.ブランドデザインの重要性ブランドの重要な役割のひとつは、商品や会社を競合と区別しやすくすることです。製品やロゴ、キャッチコピーなどを見たときに自然と連想されるイメージなどは、そのブランドが持つ特徴や差別化要素であると言えます。例えば、特定の掃除機を見て「あの会社だ」とすぐにわかる場合は、その製品のデザインや構成要素がその会社のブランドを示していると言えます。こうしたブランドの効果は、ブランドデザインによって高めることができます。ブランドデザインでは、ブランドが伝えたいビジョンや価値観をブラッシュアップしたり、認知度を向上させたりするための施策を行います。これにより、ブランドに対する顧客の信頼感やロイヤルティを向上させ、結果として企業の資産であるブランドの価値を高めることができます。また、ブランドはロゴや色使いなど、視覚的な表現で構成されるものではなく、製品やカスタマーサービスの品質、SNSなどを通した顧客コミュニケーションなど、様々な要素から構成されます。その意味で、ブランドは顧客の意思決定に大きな影響を与える重要なものでありながらも、複雑な要素が絡み合ったものです。従って、ブランディングに取り組むにあたっては、ブランドデザインを専門とする企業に業務を依頼することもひとつの選択肢です。5.ブランドデザインに関するご相談は346へブランドデザインは、競合企業との差別化や認知度の向上などを目指すうえで有効な手段です。、企業のビジョンや価値観の表現を通じて企業価値を高めることが可能となります。しかし、ブランドデザインには多大作業が必要になるほか、専門的な知識も必要になる為、全ての業務を自社内で行うのは困難です。もし、ブランドデザインに取り組みたい場合は、是非一度弊社346にご相談ください。紹介の通り、弊社346は、製造業に特化したさまざまな専門家を有するメンバーで構成されており、クリエイティブな要素に限らず、技術観点やビジネス観点などを踏まえた総合的な支援が可能です。初回無料相談も行っていますので、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。Wrriten by 346 inc. with Xaris株式会社346について 【会社概要】 会社名:株式会社346 本社:〒370-0059 群馬県高崎市椿町24-3(2F) 東京営業所:〒184-0012 東京都小金井市中町2-24-16 農工大・多摩小金井ベンチャーポート 202号室 (東京農工大学小金井キャンパス内) 代表者:三枝守仁 設立:2017年7月21日 URL:https://346design.com/ 事業内容: デザイン経営を中核にしたものづくりでテクノロジーの民主化を目指す開発・製造総合支援企業。グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)をはじめとし、国内外問わず多くの受賞実績を持つメンバーで構成され、大企業やスタートアップ企業向けの実績多数。企画、デザイン、設計、量産まで、製品開発にかかわる支援をワンストップで提供。デザインに関する解説記事身近なユニバーサルデザインの事例13選!珍しいケースや歴史もユニバーサルデザインの7原則とは?事例やバリアフリーとの違いもデザイン経営とは?成功事例や効果的な実践方法をわかりやすく解説製品試作の製作と評価:品質を向上させるための試作品の基本プロセスと活用メリットプロダクトデザインの料金の相場は?内訳や事例、依頼時の注意点も解説デザインマネジメントとは?デザイン経営との違いや具体的な業務を徹底解説デザインレビューとは?目的や製品開発を成功に導く効果的な進め方を解説<ものづくりが好きな仲間を探しています>弊社346ではデザイナーやエンジニアを募集しています。興味関心がある方はCAREERSよりお問い合わせください。弊社346では、本記事の連載または出版にご協力いただける企業を募集しています。興味関心がある方はCONTACTよりお問い合わせください。